Weather Learning Diary

日常的な気象予測や天気図理解ができるようになりたい気象勉強中の社会人ブログ

【気象学勉強】第2回 圧力と気圧

さて,今回は2回目。

気象学を勉強していると,「圧力」や「気圧」という言葉がちょいちょい出てくるのですが,その意味についてまずは理解しておくことにします。

 

 

圧力とは

血圧が高いとか,気圧が低いとか,日常的にこの「圧力」という言葉をよく使います。

なんとなくイメージとして「押す力の強さ」みたいなものを連想しますね。

でもそもそも圧力ってなんなんでしょう?

 

 

ここで,スポンジの上にある物体を考えます。

ただしこの物体は直方体の形をしており,各面の面積が大きい面があったり小さい面があったりするものとします。

すると重さは同じであるにも関わらず,面積が大きい面を下にしたときよりも,面積が小さい面を下にしたときの方がスポンジの沈み方が大きくなることが分かります。

物体に働いている重力が同じなのにスポンジの沈み方に差が出るのはどういうワケなんでしょう?

この違いを説明するために,力を面積で割った「圧力」という量を定義します。圧力とは物体が面を押す力とも言い換えられますね。

 

圧力を Pとすると,力 Fとその力がかかる面の面積 Sで以下のように書き表せます。

      P = \dfrac{F}{S}

単純ですね。

こうすると,同じ重さであってもその接する面にかかる力が違ってくる理由も理解できます。

接着面積が小さくなれば圧力は高くなりますし,大きくなれば圧力も下がるというわけです。

 

ここで重要なのは単位です。

単位には国際単位系(SI)という標準規格となる7つの基本単位があります。

時間の長さの基本単位は「秒 \rm{s}距離の長さの基本単位は「メートル \rm{m}質量の基本単位は「キログラム \rm{kg}など(残りの4つの基本単位は,温度の「ケルビン \rm{K})」,電流の「アンペア( \rm{A})」,明るさの「カンデラ \rm{cd})」,物質量の「モル( \rm{mol})」)。

一般的に,これらの基本単位を組み合わせてさまざまな単位は表現できます。

 

例えば力の単位は \rm{N}ニュートン)で表されますが,これは質量( \rm{kg})に加速度( \rm{m/s^2})をかけたものです。

すなわち,     \rm{N=kg \cdot m/s^2}

 

面積の単位は,長さの基本単位がメートルであるので \rm{m^2}(平方メートル)で表現。

 

すると圧力の単位は力を面積で割ったものであるので,

  圧力の単位: \rm{\dfrac{N}{m^2} = \dfrac{kg \cdot m}{s^2 \cdot m^2} = \dfrac{kg}{s^2 \cdot m}}

と表現できます。

この単位は \rm{Pa}パスカルとして知られています。

 

 

気圧とは

では,次に気圧とは何なんでしょうか?

上記で述べた圧力を理解していたらそんなに難しいものではありません。

 

まず空気にも重さがあります。

あまり日常で重さを感じない空気ですが,窒素や酸素など質量のある物質を含んでいるわけですから当然重さがあると考えるのは自然な考え方ですね。

YouTubeなどで空気の重さを知る実験動画が上がっていますのでご興味あればご覧ください。

 

さて,圧力というのは単位面積あたりにかかる力でした。

気圧を考える上で,かかる力というのは空気の重さになります

ではその力がかかっている面はどこでしょうか?

地表ですね。地球の表面積です。

 

地球の大気の質量を調べると5260兆トンあるようです。すなわち国際単位系で表すと 5.26×10^{18} \rm{kg}です。

この大気にかかる力の大きさ(これが重さ)は重力加速度をかけて

 5.26×10^{18} \rm{kg}×9.8 \rm{m/s^2} = 5.15×10^{19}  \rm{N}

と計算できます。

一方地球の表面積は調べてみると 5.10×10^{14} \rm{m^2}だそうです。

 

ここから地表の圧力 Pを計算すると

 P = 5.15×10^{19} ÷ (5.10×10^{14}) = 101000 \rm{Pa}

となりました。

この地表の単位面積あたりにかかる空気の重さのことを地上気圧と呼びます

ちなみに100を意味する接頭語ヘクト( \rm{h})を用いて

 101000 \rm{Pa} = 1010  \rm{hPa}ヘクトパスカル

とも書けます。こちらの方がよく耳にする単位でしょう。

ちなみに厳密な定義では,海面上の大気圧を1気圧として1013.25 \rm{hPa}とされていますので,今回の計算結果ともほとんど一致していますね。

 

では上空に行くと気圧はどうなるでしょうか?

ここでエベレストの頂上に登ったとします。

エベレストの頂上も同じく1010 \rm{hPa}でしょうか?

いえ,違います。

自分が背負っている空気の重さが地上(海面)と比べてだいぶ軽くなるからです。

高さ9000mまでに地球の大気の70%ほどが存在していると言われています。

ですので,単純計算すると大気の30%だけの力がかかるだけで済みますのでエベレスト頂上の気圧は0.3気圧ほどになります。

 

以上のように,気圧は高度が高くなればなるほど低くなります

 

空気がそれだけ薄くなりますので,高い山では頭痛や吐き気などを発症してしまうのも無理はありませんね。

 

高気圧と低気圧

天気予報でよく聞く高気圧と低気圧。

実は周囲に対して気圧が高いか低いか相対的に決まるんだそうです。これは知らなかった。

だから何気圧以上だから高気圧とかそういう定義はないんだそうです。

 

極端な話をすると周りが800hPaなら900hPaでも高気圧ですし,周囲が1000hPaなら同じ900hPaでも低気圧になるんですね。

 

 

【まとめ】学習の要点

ということで,今回学習したところで重要そうなところをメモしておきます。

自分的メモ!
  • 圧力とは単位面積あたりにかかる力のこと。
  • 気圧とは地球の地表の単位面積あたりにかかる空気の重さ。
  • 国際単位系を用いて単位を表現することに気をつける。
  • 気象学的には気圧の単位はヘクトパスカル(hPa)を用いる。
  • 海面での平均気圧を1気圧と定め,1気圧=約1013 hPa。
  • 高気圧と低気圧という言葉は周囲の気圧と比較して相対的な表現。

 

参考図書・参考URL

下記のサイトから画像などを一部お借りいたしました。