Weather Learning Diary

日常的な気象予測や天気図理解ができるようになりたい気象勉強中の社会人ブログ

第63回気象予報士試験振り返り~一般知識①~

 

今回は,今年の1月に実施されました第63回気象予報士試験の一般知識について振り返っておきます。私も今回受験して,結果は13点で,合格点を取れていました。

出来る限り丁寧に解説をつけたつもりですが,あくまで個人的にこうやって考えたら良いのではないかということを記述してのであって,間違いもあるかと思います。内容に誤りや修正等あればご指摘ください。

 

なお,問題については,気象業務支援センターから公開されておりますので,そちらからご覧ください。

気象予報士試験 (jmbsc.or.jp)

 

 

第1問 地球大気の組成

【正解】②

 

【解説】

今回,学科一般を受験したとき,問1(a)の選択肢が,私にとって本科目の中で一番迷った問題となりました。

(a)乾燥大気の組成は以下の通りです。

  • 窒素 (N₂): 約78%
  • 酸素 (O₂): 約21%
  • アルゴン (Ar): 約0.93%
  • 二酸化炭素 (CO₂): 約0.042%
  • その他: ネオン,ヘリウム,クリプトン,水素,キセノンなど

窒素と酸素だけで99%,アルゴンで0.93%と,3種類の気体だけで99.9%を超えるのです。意外にも二酸化炭素は0.1%にも満たず,0.042%(=420ppm)となっています。よって選択肢は正しい記述になります。数字を覚えていない人にとっては難しい問題だったと思いますし,覚えていれば難なく解ける容易な問題だったと思われます。私は数字をちゃんと覚えておらず,ここは結構悩み,結局賭けに出ました。

 

(b)地上から中間圏界面(高度約80km)までの範囲は大気成分組成はほぼ一定であり,窒素と酸素がほぼ80% : 20% の割合で含まれています。選択肢の記述は正しいといえます。

 

(c)まず「混合比」という言葉を理解していなければいけません。混合比というのは,湿潤空気を水蒸気と乾燥空気に分割して,乾燥空気の質量に対する水蒸気の質量のことを指します(単位は g/kg あるいは kg/kg)。すなわち,乾燥空気(1kg)に対して何グラムの水蒸気を含んでいるかを示した量です。よって,混合比が大きいというのは,乾燥空気に含まれる水蒸気量が多いということです。

空気の平均分子量は,空気を構成する各気体の分子量とその体積分率に基づいて計算されます

  空気の平均分子量 =  M_1x_1 + M_2x_2 + M_3x_3 + ・・・

  (ただし,  M_i:その気体の分子量,  x_i:その気体の体積分率)

例えば乾燥空気の平均分子量は,窒素の分子量は28,酸素は32,アルゴンは40,二酸化炭素は44であるので,

  乾燥空気の平均分子量 =  28×0.78 + 32×0.21 + 40×0.0093 + 44×0.00042

             =  28.95

となります。

乾燥空気に水蒸気が含まれると,水蒸気の体積分率は上がると同時に,乾燥空気の体積分率は下がります。水蒸気の分子量は18と軽いので,水蒸気が多ければ多いほど,空気の平均分子量は小さくなります

よって,選択肢の記述は間違っていることになります。「混合比が大きいほど,平均分子量は小さくなる」,が正しい記述です。

 

これらの結果より,(a)正,(b)正,(c)誤 で②を選べばよいのですね。

 

 

第2問 比湿

【正解】①

 

【解説】

こちらは計算問題ですが,「比湿」という言葉を理解していないと解くことができません。

比湿とは,湿潤空気1kgに含まれる水蒸気の質量のことです(単位は g/kg あるいは kg/kg)。つまり,湿潤空気の質量に対して,何グラムの水蒸気を含んでいるかを表した量です。混合比は乾燥空気1kgに対する水蒸気量ですが,比湿は湿潤空気1kgに対する水蒸気量であるという点で異なります

 

比湿は一般的に以下の数式で近似できます。ちなみに混合比も下の式で近似できますので,比湿も混合比も,定義こそ違えど,値としてはほとんど同じになります。

 

    比湿の近似式(混合比も下の式で近似できる

     比湿 =  0.622×\dfrac{e}{p}

     (ただし,  e:水蒸気分圧,  p:気圧)

     単位は,g/g(あるいは kg/kg)

 

これらを理解した上で,問題文を眺めてみます。

(A)比湿は,湿潤空気(乾燥空気+水蒸気)に含まれる水蒸気の質量のことですので,湿潤空気の質量(990g + 10g = 1000g = 1kg)に対して水蒸気が10gであることを考慮すると,

    比湿A =  10(g/kg)=  0.010(g/g)

 

(B)空気中に含まれる水蒸気圧は,飽和水蒸気圧と相対湿度の積で求まります。

    空気中の水蒸気圧

     (空気中水蒸気圧) = (飽和水蒸気圧)×(相対湿度)÷ 100

温度14℃で相対湿度75%の空気の,飽和水蒸気圧は(表の値から)16hPa であることが分かりますので,その水蒸気圧は 16hPa × 0.75 = 12 hPa ですね。

これを比湿の近似式に代入して計算してやると,

    比湿B =  0.622×\dfrac{12}{700} = 0.01066(g/g)

となります。

 

(C)露点温度という言葉の理解が重要です。露点温度とは,その空気を圧力一定の下で冷やしていったときに凝結が起こる温度であり,その水蒸気圧が飽和水蒸気圧となる温度のことと言い換えられます。

よって,「温度20℃,露点温度16℃」とは,「温度20℃,(16℃の飽和水蒸気圧に相当する)水蒸気圧18hPa」と表から読み取れるのです。

あとは比湿の近似式に代入して計算してやると,

    比湿C =  0.622×\dfrac{18}{900} = 0.0124(g/g)

 

以上の結果から,比湿A < 比湿B < 比湿C で①が正解。

比湿,露点温度などの言葉の理解と,計算式の単位をきちんと理解する必要があります。

私は比湿Bの計算を,0.0166と計算ミスしてしまい,②を選んでしまって誤答となっていました。見直しするなら,計算からちゃんとやった方が良いですね。

 

 

第3問 気温減率

【正解】④

 

【解説】

受験したとき,何を問いたいのか今ひとつよく分からないと感じた1問。

 

まず,気温減率には,平均気温減率乾燥断熱減率湿潤断熱減率などがあります。

 

平均気温減率は,観測に基づいた大気の気温プロファイルの統計平均値であり,「空気塊が上昇したときどうなるか」ではなく,「その場で大気がどういう状態にあるか」を表すものです(たとえば国際標準大気での6.5℃/km)。

一方で,乾燥断熱減率と湿潤断熱減率は,空気塊の断熱上昇・下降を考えるときに用いられるものであり,未飽和であれば乾燥断熱減率,飽和していたら湿潤断熱減率を考える必要があります(乾燥断熱減率は10℃/km,湿潤断熱減率は5℃/km)。

 

上記のことを頭に入れて問題を解いてみましょう。

まず,山にぶつかる前の上空1200mの空気の温度は,30-6×1.2=22.8℃ です。この問題では,平均の気温減率が6℃/km で設定されています。

 

山に沿って上昇・下降するとき,水蒸気の凝結は起こらないということなので乾燥断熱減率(10℃/km)を考慮して,気温の変化は

  22.8-10×0.3+10×1.5=34.8℃

より④が正解となります。

平均気温減率の値を示しているのであれば,乾燥断熱減率と湿潤断熱減率の値も示してほしいと試験を受けていて思いました。問題文で与えられない数値を使って解答するのは,出題の仕方がフェアじゃないと思っていて,個人的にはこういう問題は好きではないです。これは第62回試験の一般知識の問2にも言えることです。

 

ちなみに,試験問題の状況のように,降雨を伴わないフェーン現象を「ドライフェーン」といいます。

 

 

第4問 霧の種類

【正解】③

 

【解説】

これは単純な知識問題。霧の名前を覚えていないとどうしようもありません。

代表的な霧は以下の5つです。

  • 放射霧:放射冷却により地表付近の空気が冷やされる
  • 移流霧:暖かく湿った空気が冷たい地面や海面の上を移動して冷やされる
  • 蒸発霧:暖かい水面からの水蒸気が冷たい空気中で凝結する
  • 上昇霧(滑昇霧):空気が斜面を上昇し断熱冷却される
  • 前線霧:前線に伴う降水が蒸発し,空気が湿って飽和する

 

移流霧と蒸発霧の違いは混乱しやすいので,よく問われる点であるように思います。蒸発霧は(お風呂や温泉のように)暖かい水面から蒸発した水蒸気が上空の冷たい空気に急冷され,凝結することで発生します。一方で,移流霧は,冷たい海水に冷やされた暖かい空気中の水蒸気が凝結してできる霧です。

前線霧というのはあまりピンとこないかもしれませんが,前線(主に空気が暖かい温暖前線付近)の接近に伴って雨が降り湿度が上がったところに,冷たい空気が入ることで凝結して霧ができます。

上記を踏まえて,選択肢を眺めてみましょう。

 

(a)この記述は蒸発霧のことを言っていますので,誤りです。蒸発霧と移流霧の空気と水面の温度の関係については覚えておきましょう。

 

(b)放射霧は放射冷却によって地表付近の空気が冷やされて発生しますので記述は正しそうです。しかし,気象予報士試験では,本質部分とは逸れる箇所を問うようなトラップがあったります。念のため,「放射冷却」という説明もチェックしておきます。

放射冷却とは,地表から熱が外に放出されるときに,地面が冷える現象を指します。昼は太陽からの熱を受けるので地面は暖められる方向に進みますが,日没後は冷却が進みます。冷たい空気は密度が大きく地面付近に溜まって冷えますが,風が強いと空気がかき混ぜられて冷たい空気が滞留されづらくなります。また,雲があると,地表面からの熱が雲によって反射され,再び地表面へと放出されて空気は冷却しづらくなります。よって,放射冷却は,雲がない晴れた日の夜間の,冷気が滞留しやすい風が弱いときに強まると言うことができます。

以上のことから,放射冷却についても正しく,放射霧の説明としても正しいので,文句なく正しい記述となります。

 

(c)空気が斜面に沿って上昇すると,断熱膨張により空気は冷却されます。冷やされると水蒸気が凝結して霧ができるのです。これが上昇霧です。露点温度とは凝結が起こる温度ですので,「露点温度以下に下がって生じる」という記述も正しいです。

 

これらの結果より,(a)誤,(b)正,(c)正 で③が正解。

 

 

第5問 地球放射

【正解】⑤

 

【解説】

(a)太陽からの放射を太陽放射(短波放射),地球からの放射を地球放射(長波放射)といいます。物体はどんなものでも温度があり,その温度に応じて熱を放射しています。

ウィーンの変位則を用いると,放射強度が最大となる波長を導き出すことができます。

 

    ウィーンの変位則

       \lambda_{max} = \dfrac{2897}{T} \rm{\mu m}

      (ピーク波長: \lambda_{max},黒体の絶対温度 T

   

太陽表面温度は約5800K,地球表面温度は約288Kであるので,上記の式から

  太陽放射(短波放射)のピーク波長: \dfrac{2897}{5800}≒0.5 \rm{\mu m}

  地球放射(長波放射)のピーク波長: \dfrac{2897}{288}≒10 \rm{\mu m}

となります。

可視光の範囲は約 0.38 μm ~ 0.78 μm,赤外光(赤外線)の範囲は約 0.78 μm ~ 1000 μmですので,太陽放射は主に可視光域に,地球放射は主に赤外域に入ります。そして,水蒸気や二酸化炭素などの分子は,赤外線を強く吸収しますが,可視光はほとんど吸収しないという特性を持っています。一方,酸素や窒素は可視光・赤外光のどちらに対しても吸収が非常に弱いことが知られています。

この事実から,地表から放射される赤外線を吸収し,大気中に熱を閉じ込める「温室効果」をもつ気体は水蒸気と二酸化炭素であるという考察も可能で,酸素や窒素は温室効果ガスではありません。

以上を踏まえると,選択肢の記述「長波放射は主に二酸化炭素と酸素によって吸収される」という表現は間違いとなります。正しくは,「長波放射は主に二酸化炭素水蒸気によって吸収される」ですね。繰り返しになりますが,二酸化炭素も水蒸気も長波放射を吸収するから,温室効果ガスになり得るのです。

 

(b)こういうのは図を描きましょう。

上で説明したように,短波放射の多くは可視光で構成されており,これは人間の目で感知できる範囲です。一方,長波放射は赤外線であり,人の目では見ることができません。

宇宙から青く輝く地球の映像を見たことがある方も多いと思いますが,私たちの目に地球が輝いて見えるのは,可視光が地球から出ているためです。これは,地球が太陽からの光を反射していることによるものです。

太陽からの短波放射エネルギーを100とした場合,地球はそのうち30を短波放射のまま反射します(この反射する割合が,いわゆる地球のアルベドです)。この反射された光を受け取ることで,宇宙飛行士には地球が青く見えるのです。反射の内訳としては,雲などの水滴によるものが約20,地表面によるものが約10とされています。宇宙から地球の映像で雲や陸地が見えるのも,これらの物体が太陽光を反射しているからです(もし地球の大気の上端で太陽光がすべて反射されてしまうと,私たちは雲や陸地などを視覚的に捉えることができません)。

 

ここで,エネルギーのやりとりを考えると,(エネルギーの一時的な出入りはあるものの)地球システム全体としては,長期的に見て入射と放出がつり合った平衡状態にあります。

地球の熱の出入りを見たとき,地球が太陽からエネルギーを吸収したならば,最終的には同じ分を赤外線(長波放射)として宇宙へ放射し平衡状態を保つ必要があります。

具体的には,太陽放射として地球に100のエネルギーが入射し,そのうち30は反射されて戻りますので,残りの70が地球に入ることになります。そしてその70は,赤外線(長波放射)として地球から宇宙へと放出されることで,地球の温度は一定に保たれることになります。

 

上記のことを踏まえると,選択肢の「地球の大気上端から外向きに射出される長波放射量は,地球大気上端に入射する太陽放射量にほぼ等しい」という記述は誤りです。「地球の大気上端から外向きに射出される長波放射量(ここでは70のエネルギー)は,地球大気上端に入射する太陽放射量(100のエネルギー)の約70%になる」必要があります。

太陽放射と地球放射については以下の記事をご参考。

 

(c)ステファン・ボルツマンの法則を考えます。

 

    ステファン・ボルツマンの法則

       I = \sigma T^4 

      ( I放射エネルギー  \sigmaステファン・ボルツマン定数  T:温度

 

この式は,単位面積当たりに黒体から放射されるエネルギーは,温度(絶対温度)の4乗に比例する,というものです。よって,熱を放射する物体の温度が低いと放射エネルギーは小さくなり,温度が高いと大きくなります。

 

ここで,選択肢は「背の高い積乱雲の雲頂から放射される長波放射量は,その周囲の海面から放射される長波放射量よりも大きい」とありますが,これは明らかに誤りとなります。雲の雲頂温度の方が,周囲の海面温度よりもはるかに気温が低いためです。

 

(a)誤,(b)誤,(c)誤 で⑤が正解。

 

 

第6問 相対渦度

【正解】②

 

【解説】

渦度(相対渦度)とは,ある局所領域における回転の度合いを表すものです。渦度を理解することで,低気圧(あるいは高気圧)の位置や盛衰,強風軸の位置,風のシアーなどを理解することができますので,気象解析に重要なのです。

そして渦度(ζ:ゼータという記号で表現されることが多いようです)は以下の数式で表現されます。尚, \Delta V_x \Delta V_y はそれぞれ風の  x成分 と  y成分の速度の変化量, \Delta x \Delta y は局所領域の  x方向 と  y方向の距離です。

 

    渦度ζを求める式:

        {\zeta} = \dfrac{\Delta V_y}{\Delta x}  - \dfrac{\Delta V_x}{\Delta y} 

 

渦度の計算方法については以下の記事を参考にしてください。

 

 \Delta x = \Delta y = 2000(m)であることを念頭に,地点A,B,Cの渦度を求めてみます。

(A)渦度を計算すると以下の通りです。 

     {\zeta_A} = \dfrac{0}{2000}  - \dfrac{0}{2000} = 0

 

(B)渦度を計算すると以下の通りです。 

     {\zeta_B} = \dfrac{4}{2000}  - \dfrac{-5}{2000} = \dfrac{9}{2000}

 

(C)渦度を計算すると以下の通りです。 

     {\zeta_C} = \dfrac{0}{2000}  - \dfrac{-4}{2000} = \dfrac{4}{2000}

 

よって, {\zeta_A} {\zeta_C} {\zeta_B} で②が正解。

 

 

第7問 連続の式

【正解】④

 

【解説】
本問ですが,収束・発散と上昇流・下降流の状況を理解するためには連続の式(質量保存の式)を理解しておく必要があります。ある空間に,空気が出たり入ったりしますが,このときその空間に入ってくる空気量と,出ていく空気量は等しく,空間内の空気の質量は常に一定である,というのが連続の式の意味となります。

 

この問題では,風速は提示されているものの,風が吹きつける側面や上面の面積が示されていません。

そこで,下の図のように,まずは一番下の直方体に着目して考えてみることにします。

この直方体に入ってくる空気量と,出ていく空気量を考慮して,連続の式が成立するための条件を見つけていきます。

 

    流入・流出する空気量

     (体積流量) = (風速)×(風と垂直な面の面積)

 

であることを理解しつつ,流入方向をプラス,流出方向をマイナスとして,

  側面からの空気流入量:+5 × 側面積  S

  側面からの空気流出量:-4 × 側面積  S

  上面からの空気流出量:-0.5 × 上面積  U

です。

このとき,空間に入ってくる空気量と,出ていく空気量が等しい,すなわち連続の式が成立するとして,以下の式を立てます。

 5 × 側面積  S - 4 × 側面積  S - 0.5 × 上面積  U = 0

 

これより, 側面積  S :上面積  U = 1 :  2 という面積比になる必要があると求まります。すなわち,上面積  U = 2S  ですね。

 

ここで,下段から上段の3つの直方体を合わせたものを1つの大きな直方体とみなして,その大きな直方体に出入りする空気量を考えると,流入方向をプラス,流出方向をマイナスとして

  側面からの流入量:

   5 × 下段側面積  S + 5 × 中段側面積  S + 4 × 上段側面積  2S =   +18S 

  側面からの流出量:

   -4 × 下段側面積  S - 3 × 中段側面積  S - 5 × 上段側面積  2S = -  17S 

  上面からの体積流量:

   求める風速  v × 上面積  U =  2vS

 

よって,  18S - 17S + 2vS = 0 

この式を解いて,   v = - 0.5 (m/s)と求まり, 直方体上面で風は  0.5 (m/s)の速さで流出していると分かるのです。

 

よって,上向き(ここでは正方向)に  0.5 (m/s)であるので,④が正解ですね。

 

 

【別解】

もう少し丁寧に,ひとつひとつの直方体に分けて計算しても同じ計算結果を得ます。

まずは下段の直方体。この直方体の連続の式を考えることで,側面積  S :上面積  U = 1 :  2 が得られます。

 

次に中段の直方体に着目。直方体上面からの体積流量をとりあえず上向きに  x (m/s)とします。底面では,下段から 0.5 m/s で空気が流入します。

この直方体にも連続の式を適用すると,
 5 × 側面積  S - 3 × 側面積  S + 0.5 × 底面積  2S x × 上面積  2S = 0

より,  x = 1.5(m/s)と求まります。

 

最後に,上段の直方体も連続の式を考慮してみましょう。直方体上面からの体積流量をとりあえず上向きに  y (m/s)と設定しておくことにします。また,底面では,中段の直方体から   x の風速,すなわち 1.5 m/s で空気が流入します。

 4 × 側面積  2S - 5 × 側面積  2S + 1.5 × 底面積  2S y × 上面積  2S = 0
より,  y = 0.5(m/s)と求まります。同じ結果が得られました。

 

私は受験したとき,上の解法と下の解法をどちらも適用して見直しをしたのですが,面Bと面C間の距離が  2H と2倍になっていることを失念して計算してしまい,結局⑤を選んで間違いとなっていました。これもしょうもないミスですが,見直ししたのに気づけなかったのは実力不足ですね。

 

 

第8問 ジェット気流の緯度高度分布

【正解】⑤

 

【解説】

こちらは天気図などを日頃から眺めていれば正解に辿り着けますが,そういう習慣がないと高度や緯度の数字の感覚がつかめず苦労するかもしれません。

(a)下は200hPa(高度約12km)の天気図ですが,ジェット気流を表す矢羽根が明瞭に確認できます。これがジェット気流の軸です。すなわち,ジェット気流の軸は500hPa(高度5500m)よりももっと上空に現れます。


(b)こちらも天気図を確認してみましょう。

下は冬(1月)の上空200hPaの風速を色付けしたものです。日本列島付近にジェット気流の軸となる濃い帯があります。南側に亜熱帯ジェット気流,北側からは寒帯前線ジェット気流が蛇行して合流しているような形になっています。

一方,下のように,夏(8月)はジェット気流の軸は北側に移動します。北海道付近を進んでいる帯が亜熱帯ジェット気流です。真夏は,太平洋高気圧に押される形になりジェット気流は北上します。

 

赤道付近は1年を通して気温は概ね一定していますが,冬は極付近で非常に寒くなり寒気が南下します。このため,冬は半球の南北の温度差が大きく,夏は小さくなります。

ジェット気流は南北の温度傾度が大きいところにできるので,暖かい空気と冷たい空気がぶつかるところを考慮すると,冬は南側に,夏は北側に発達すると考えられます。

 

(c)寒帯前線ジェット気流と亜熱帯ジェット気流の3か月平均の緯度分布についての問題です。

寒帯前線ジェット気流は,特に冬は傾圧不安定波に伴う温帯低気圧の移動や発達などに強く関連しています。そして,寒帯前線ジェット気流は蛇行しやすく,また蛇行の振幅が大きくなりやすいという特徴があります。蛇行が大きいということを考慮すると,寒帯前線ジェット気流の軸は不明瞭になりやすいと言えます。蛇行の振幅や波長が軸の平均的位置に拡がりをもたらすためです。

 

一方で,亜熱帯ジェット気流は,寒帯前線ジェットよりも低緯度側でほぼ定常的に吹いています。定常的に存在しているので,軸の平均的位置は比較的明瞭といえます。

 

(d)貿易風についての説明で,これはその通りで解説することもありません。

 

これらの結果より,(a)誤,(b)誤,(c)誤,(d)正 で⑤を選ぶのが正解です。

 

前半部分はここまで。次回に続きます。

 

 

参考図書・参考URL

下記のサイトから画像などを一部お借りいたしました。