Weather Learning Diary

日常的な気象予測や天気図理解ができるようになりたい気象勉強中の社会人ブログ

2025年9月の気象関連ニュース

 

今月の気になった気象ニュースを書き留めておきます。

 

 

梅雨入り・梅雨明けの確定

9月1日,気象庁から今年の梅雨入りと梅雨明けの時期の確定値が発表されました。

気象庁では毎年,全国各地の梅雨入り・梅雨明けの時期を速報値として発表しており,その年の9月頃に実際の天気のデータをもとに見直しを行い,確定値として発表しています。

結果的には,今年の梅雨入り・梅雨明けの確定値が,速報値から大きく変化した地域もありました。

下の表が各地の速報値と確定値になります。

2025年の5月の記事では,統計史上初めて九州南部地方が全国で最も早い梅雨入りとなったことを報告しましたが,確定値では沖縄や奄美の梅雨入りが早まり「幻の全国最速の九州南部地方からの梅雨入り」になったとのこと。

 

ただ,季節の流れは連続的に変化するものであり,(虹の7色の境界がどこにあるのかを正確に把握できないように)季節の境界に区切りを入れるということは難しいようで,時期が大きくズレるのも致し方ないことだと思います。

 

そもそも,気象庁が毎年律儀に梅雨入りを発表する意義があるのかとも思いましたが,大雨による災害に注意を喚起する意味もあるようですので,防災上必要な発表ということで個人的に腑に落ちました。

 

2025年8月の世界平均気温は観測史上3番目の暑さ

今月初旬,「コペルニクス気候変動サービス」から,昨月2025年8月の1ヶ月間の世界平均気温について発表がありました(https://climate.copernicus.eu/surface-air-temperature-august-2025)。

・世界平均気温は16.60°Cで、1991~2020年の8月の平均より0.49°C高かった。

・記録上3番目に暖かい8月となった。2023年と2024年の8月よりも0.22℃低かった。

産業革命以前の1850~1900年の8月の平均気温の推定値より1.29℃高かった。

2023年,2024年に次いで,観測史上3番目に位置する暑い8月となったということです。ここ数年暑い夏が続いていることが分かりますね。

 

下はNASAが発表している,1880年から現在までの気温変化(気温スパイラル)を表現したものですが(NASA SVS | NASA Climate Spiral 1880-Present),1980年頃から急速な気温上昇が認められますね。

このアニメーションを見れば,地球の気温が長期的に上昇していることは明白であり,「地球温暖化は起きていない」という主張はナンセンスです。

 

もっとも,地球温暖化問題についてはいろいろな議論がなされているようですが,そもそもの議論が平行線をたどっているように私には思えます。

地球温暖化自体起こっていないという主張,地球は温暖化傾向にあるが自然による変動の範囲内であるので問題はないという主張,地球温暖化は起こっているものの経済発展を優先すべきという主張,地球温暖化は人為的な二酸化炭素が原因ではないという主張・・などなど,地球温暖化問題の論点が多岐にわたるため,もう少し問題点を細かく分解して議論すべき内容だと感じます。

 

ただ,どのような立場であれ,最悪の事態を想定しつつ,持続可能な地球環境を維持するよう努力していく姿勢は,共通して必要であると言えるでしょう。

 

2025年8月の日本の全国平均気温は観測史上2番目の暑さ

世界の8月の平均気温が観測史上3番目の暑さだった一方,日本の8月の全国平均気温は過去2番目の高さだったようです。

 

今年の8月がとにかく暑かったことは,観測史上最高気温が大きく塗り替えられたことからも容易に想像できます。

8月5日には,群馬県伊勢崎市で歴代最高気温41.8℃,埼玉県鳩山町で歴代2位の41.4℃,群馬県桐生市で歴代3位の41.2℃を記録し,その翌日の8月6日には静岡県静岡市で歴代2位タイの41.4℃を観測したということで,他の年の記録を大きく突き放す記録づくめの8月となりました。

 

このように,世界的な高温傾向は,日本においても顕著に現れているのが分かります。

 

2025年の日本の夏平均気温は観測史上最高を記録

さらに,気象庁からは,2025年の日本の夏(6~8月)の平均気温が観測史上最高を記録したと発表がありました(気象庁 | 日本の季節平均気温)。

下のグラフが1898年の統計開始からの日本の夏の平均気温の推移ですが,今年は突出した気温になっています。

平均気温は平年を2.36℃上回り,かつ3年連続で最も暑い夏を更新し続けたことになり,気温上昇に歯止めがかからない状況が続いていることが見て取れます。

 

この夏の気温が上昇した理由としては,梅雨明けが早かったこと太平洋高気圧とチベット高気圧の2つの高気圧が重なったこと日本近海の海水温が高かったことなどが挙げられていますが,地球温暖化も大きく影響していることは間違いないでしょう。

特に,2025年7月における日本近海の海水温は,統計開始以来最高気温を記録していたようです。

 

なお,今年の沖縄は,一度も猛暑日を記録することなく夏が終わりました。一方で,北海道では複数地点で猛暑日を記録し,暑いはずの南の島で涼しく,涼しいはずの北の大地で暑いというのは,なんとも不思議なことですね。

 

気象庁,最高気温40℃以上の名称検討も視野

日本の夏の気温が記録を更新する中で,気温40℃を超す日も珍しいことではなくなりつつあります。2025年の夏においては,気温40℃以上を記録した地点は30ヶ所以上あったとのことです。

 

気象庁では,1日の最高気温が25℃以上の日を「夏日」,30℃以上の日を「真夏日」,35℃以上の日を「猛暑日」と定めていますが,40℃以上の日についてはこれまで正式な名称がありませんでした。

こうした状況を受け,気象庁長官は9月17日,最高気温が40℃以上の日に新たな名称を付けることも視野に入れていることを明らかにしました。

下が会見のフル動画です(名称についての質疑は46分30秒あたり)。

 

一方,民間の日本気象協会は2022年に「最高気温が40℃以上の日」は「酷暑日*1と呼ぶことを決めています(他に挙がっていた候補としては「炎暑日」,「危暑日(きしょび?)」などがあったようです)。

 

気象庁では今後,適切な言葉遣いであるかどうかを考慮したうえで,新名称を決めていくということです。

 

さいごに

ここ数日,少し気温が下がって,風に秋の気配を感じることが多くなってきましたね。ただ,先日出かけた公園ではセミが鳴いていて,夏もまだ残っているのが感じられました。

 

関西万博にも足を運びましたが,大屋根リングという素晴らしい建築物から眺める青空は輪をかけて美しいものでした。

遠くに積雲・積乱雲が見え,手前には巻雲が見えますね。このように,夏の雲と秋の雲が交じり合った空模様を「行合の空」と言い,俳句の季語にもなっているようです。

 

地平から湧き出す雄大なる積雲。

2025年の夏はまもなく過ぎ去りますが,いろんな意味でアツかったこの夏を,ここに記録しておくことにします。

出典

 

*1:「最低気温が30℃以上の夜」は「超熱帯夜(ちょうねったいや)」が選ばれている