Weather Learning Diary

日常的な気象予測や天気図理解ができるようになりたい気象勉強中の社会人ブログ

2025年7月の気象関連ニュース

 

今月も非常に暑い1ヶ月でしたね。蒸し風呂のような中での通勤で,朝の時点で体力を奪われてしまい,残りの一日をどう乗り切るかが私にとって喫緊の課題となっています。

さて,今月の個人的に興味をもった気象関連ニュースをまとめておきます。

 

 

2025年6月の世界平均気温は観測史上3番目の暑さ

まずは地球温暖化に関連するニュースから紹介します。

今月初旬,「コペルニクス気候変動サービス」から,2025年6月の1ヶ月間の世界平均気温について発表がありました。その内容は以下の通りです(Surface air temperature for June 2025 | Copernicus)。

  • 1991-2020年6月の平均より0.47°C高く、世界平均気温は16.46°Cだった。
  • 過去最高の2024年6月より0.20℃低く、2023年より0.06℃低くなった。記録上では3番目に高い6月の気温となった。
  • 1850年から1900年の産業革命前の6月平均の推定値より1.30°C高かった。

 

2024年6月,2023年6月に次いで,観測史上3番目に位置する暑い6月となったということです。

パリ協定では,産業革命以前に比べて世界の平均気温の上昇を「1.5℃まで」に抑えるという目標が盛り込まれていますが,1.5℃以内に抑えるという目標値を下回ってはいるものの,依然として高い水準が続いていることがわかります。

コペルニクス気候変動サービスによると,このままの過去30年間の気温上昇ペースが持続すると仮定した場合,2029年5月に産業革命以前に比べて世界平均気温が+1.5℃に達すると予測されています。あと4年と考えると,その時は思いのほか早く訪れるかもしれません。

 

 C3S global temperature trend monitor 

 

 

2025年6月の全国平均気温は過去最高

2025年6月の日本の平均気温は,1898年の統計開始以来過去最高になったというニュースも気象庁から発表されました(6月の記録的な高温と今後の見通しについて | 気象庁)。

今年6月は、日本付近への太平洋高気圧の張り出しが強く、日本の月平均気温の基準値からの偏差は+2.34℃で、これまでの6月の記録であった2020年の+1.43℃を上回り、統計を開始した1898年以降、最も高くなりました。

先月,西日本では例年よりかなり早い梅雨明けが発表されました。チベット高気圧と太平洋高気圧の張り出しが強くなったことで,高気圧で覆われて晴れたところが多くなり,結果的には暑い1ヶ月になったようです。

 

気象庁で入手できる過去の気象データ(気象庁|過去の気象データ検索)を用いて,1950年から2025年の過去75年の東京だけの6月の気温をプロットしてみました。

過去75年間では,1979年6月で気温が高かったようですが,今年の6月はそれを上回っていることが分かります。

また,単純な線形回帰の結果からも,その直線の傾きは正であり,時間の経過とともに東京の6月の気温は上昇傾向にあることが示されました。

 

世界的にも日本国内でも記録的な高温が続くなか,温暖化対策の必要性が改めて問われる1ヶ月となりました。今後の気温の推移にも注目していく必要がありそうです。

 

 

日本の近海で台風が続々発生

日本が暑くなるに伴って,日本の近海では台風の卵となる熱帯低気圧が続々と発生しています。

今年は台風1号が発生したのが6月11日と例年に比べて遅かったようですが,7月になると台風3号から9号が立て続けに発生し,平年の発生数と遜色ない状況にまで追いつきました。また,台風5号に関しては,9年ぶりに北海道に上陸した台風となりました。

一般的に,熱帯低気圧は海面水温が26~27℃の海域で発生するといわれています。 また,海水温が30℃を超えると台風の発達も助長されます。

台風が日本近海に北上すると海水温が下がるため通常勢力は弱まりますが,今回の台風5号では,平年に比べて水温が高い海域が北の方まで広がったため,台風は北海道に上陸するまでその勢力を維持したと考えられます。

いずれにせよ,高い海水温が引き起こす台風の影響にも気を付けなければいけないのです。

weatherlearning.hatenablog.jp

 

 

高校生の理科離れが加速

少し気象とは離れた話題になりますが,今月3日に発表された国際調査の結果から,日本の高校生の理科離れが進んでいるというニュースを目にしました。理系の私からしたら,なんとも寂しいニュースではあります(詳細は,高校生の科学への意識と学習に関する調査報告書―日本・米国・中国・韓国の比較―<令和7年7月発行> | 独立行政法人 国立青少年教育振興機構)。

 

近年の技術進歩により,スマートフォン一つでニュースや動画,SNSやショッピングまで手軽に楽しめる時代になりました。しかし,それらを支える仕組みや技術に目を向ける機会は減ってきているのかもしれませんね。最近では,ChatGPTのようなAIが簡単に答えを教えてくれるため,一部では自分で調べたり考えたりする習慣も薄れてしまっているのも事実でしょう。

ただ,それはあくまで「使う側」の視点にすぎません。スマホやAIを「つくる側」に回るには,数学や理科の知識が欠かせません。AIの開発には高度な数学が必要ですし,天気予報の精度を高めるには,雲の成り立ちや気圧配置などの気象の知識が欠かせません。また,地震や台風といった自然災害に備える技術の背景にも,物理や地学の理解が深く関係しています。

このように,理科は「試験のための教科」ではなく,「私たちの暮らしを支える知識の集合体」として捉えるべきだと考えます。科学的な視点は,たとえ将来理系の職業に就かないとしても,日々のニュースを読み解いたり,健康や環境の問題を考えたりするうえで重要な判断力を養う助けになります。

 

さらに,現代社会ではSNSを通じてデマや陰謀論が拡散されやすくなっており,人工地震や根拠のない災害予言など,非科学的な情報に惑わされないためにも,最低限の科学リテラシーは必要不可欠です。AIの出力をただ鵜呑みにするのではなく,自らの知識で吟味し判断する姿勢が求められています。

 

近い将来,「科学技術を使いこなす人」と「科学技術に使われる人」との間には,ますます大きな格差が生まれていくかもしれません。だからこそ,「なぜこうなるのか」「どうすればもっと良くなるのか」「そもそもそれは本当か」と問い続ける理科の精神を大切にしなければいけないと考えます。科学を学ぶことは,よりよく生きる力を育む営みなのだと思います。

 

そして同時に,若い人たちが理科という教科に興味を持てなくなっている背景には,私たち大人の姿勢にも責任があることを忘れてはなりません。目先のテストのためのテクニックや暗記ではなく,科学がどのように社会で役立てられているのか,理科を学ぶことが私たちの視野をどれほど広げてくれるのか——そうした大きな視点で子どもたちの興味を引き出すことも,大人としての大切な役割であると考えています。

 

 

さいごに

ニュースで『猛烈な暑さ』という文字を見ない日がないほど,この7月も暑い1ヶ月となりました。2025年7月の全国平均気温も,おそらく観測記録として上位に食い込む暑さになることは間違いないでしょう。

 

突然の強い雨などにも降られることも多くありました。

それでも雲頂高度の高い入道雲や積乱雲の姿は,夏を感じられて個人的には好きなのです。

こちらは積乱雲ですね。

 

下は乳房雲。

乳房雲は大気の状態が不安定な時に現れ,積乱雲の周辺で見られることが多いと言います。激しい雨や雷,ひょうなどの前兆となることがありますので注意が必要です。

 

夏の夕焼け。

 

暑い日々は続きますが,適度に冷房などを活用して,この夏を乗り切っていきましょう。

 

 

出典