Weather Learning Diary

日常的な気象予測や天気図理解ができるようになりたい気象勉強初心者のブログ

【気象学勉強】第86回 消防法

 

前回に引き続き,気象や災害関連の法律を見ていくことにします。

今回は消防法。さくっと終わらせましょう。

 

 

消防法とは

まずは消防法について。消防法というのは,火災を予防・警戒・鎮圧し,国民の生命や財産を火災から保護して被害の軽減を図り公共の福祉の増進を促すことを目的とした法律です。

第一章 総則

第一条 この法律は、火災を予防し、警戒し及び鎮圧し、国民の生命、身体及び財産を火災から保護するとともに、火災又は地震等の災害による被害を軽減するほか、災害等による傷病者の搬送を適切に行い、もつて安寧秩序を保持し、社会公共の福祉の増進に資することを目的とする。

災害対策基本法は気象災害や火事などの災害全般に対して定められた法律ですが,今回の消防法は火災に特化した法律のようです。1948年に施行されました。

 

火災には危険物などが原因のものもありますが,気象の世界では乾燥した空気による火事・山火事などを考えた方が分かりやすいかと思います。

例えば,2016年に起こった糸魚川市の大火災は,日本海低気圧に吹き込む南からの乾いた強い風が火事が広がった原因の一つと言われています。

www.city.itoigawa.lg.jp

 

火災の通報

この消防法では,火災を見つけたときの私たちの行動について書かれています。

まず私たちが火災を目撃した時にはどうすればいいでしょうか?

第二十四条 火災を発見した者は、遅滞なくこれを消防署又は市町村長の指定した場所に通報しなければならない。
 すべての人は、前項の通報が最も迅速に到達するように協力しなければならない。

消防署(119番)に通報すればいいのですね。もしくは市町村長の指定した場所(消防本部,消防署の出張所,消防団本部,役場,警察署,派出所などが例として挙げられる)に通報するようです。これは身近ですし,日本人なら誰でも知っていることです。

 

 

しかし,火災が起こってからでは遅いですね。

そこで,気象庁や気象台,測候所の長は,空気が乾燥していたりして火災が起こりやすいときには,その状況を都道府県知事に通報しなければいけないと定められています。

第二十二条 気象庁長官、管区気象台長、沖縄気象台長、地方気象台長又は測候所長は、気象の状況が火災の予防上危険であると認めるときは、その状況を直ちにその地を管轄する都道府県知事に通報しなければならない。
 都道府県知事は、前項の通報を受けたときは、直ちにこれを市町村長に通報しなければならない。
 市町村長は、前項の通報を受けたとき又は気象の状況が火災の予防上危険であると認めるときは、火災に関する警報を発することができる。
 前項の規定による警報が発せられたときは、警報が解除されるまでの間、その市町村の区域内に在る者は、市町村条例で定める火の使用の制限に従わなければならない。
第二十三条 市町村長は、火災の警戒上特に必要があると認めるときは、期間を限つて、一定区域内におけるたき火又は喫煙の制限をすることができる。

気象台などから通報を受け取った都道府県知事は,これを市町村長に通報しなければいけません

さらに通報を受けた市町村長は火災に関する警報(火災警報)を発令することができます。基本的に火災で重要な決定権は市町村長にあるのですね。市町村長による火災警報が出されたときには(警報が解除されるまで)住民は火の使用が制限されます

火の使用の制限とは具体的には以下のものがあるようです(いわき市の場合,火災警報をご存知ですか?|いわき市消防本部 (iwaki.lg.jp))。

  1. 山林、原野等において火入れをしないこと
  2. 煙火(花火)を行わないこと
  3. 屋外で火遊びやたき火をしないこと
  4. 屋外において、燃えやすいものの付近で喫煙をしないこと
  5. 山林、原野等において、屋外で喫煙しないこと
  6. 残火(たばこの吸い殻を含む。)、取灰又は火粉を始末すること
  7. 屋内において裸火を使用するときは、窓、出入口等を閉じて行うこと 

 

火災の通知のフローについては以下の図にまとめておきます。

 

消防法として押さえておくポイントは上記くらいですかね。

次回からは,気象業務法について見ていくことにします。

 

【まとめ】学習の要点

ということで,今回学習したところで重要そうなところをメモしておきます。

自分的メモ!
  • 消防法というのは,火災を予防・警戒・鎮圧し,国民の生命や財産を火災から保護して被害の軽減を図り公共の福祉の増進を促すことを目的とした法律。
  • 私たちが火災を発見したときには,遅滞なくこれを消防署又は市町村長の指定した場所に通報しなければならない。
  • 火災をあらかじめ防止するため,気象庁や気象台,測候所の長は,空気が乾燥していたりして火災が起こりやすいときには,その状況を都道府県知事に通報しなければいけない。
  • 通報を受けた都道府県知事は,これを市町村長に通報しなければならない。
  • 通報を受けた市町村長は火災に関する警報(火災警報)を発令することができる。
  • 市町村長による火災警報が出されたときには(警報が解除されるまで)住民は火の使用が制限される

 

参考図書・参考URL

下記のサイトから画像などを一部お借りいたしました。