Weather Learning Diary

日常的な気象予測や天気図理解ができるようになりたい気象勉強初心者のブログ

【気象学勉強】第93回 数値予報①〜格子点〜

 

今回から「数値予報」について細かくみていこうと思います。

 

 

アナログとデジタル

私たちの世界にはアナログの世界とデジタルの世界が共存しています。

アナログというのは連続的なデータを取り扱うことで,デジタルというのはとびとびの不連続なデータを取り扱うことを指します。

どういうことでしょうか?

 

例えばデジタルならばデジタルカメラを想像すると分かりやすいかと思います。

下はデジカメで撮影した写真です。一見すると何の変哲もない建物を撮っただけの写真ですね。

しかし写真を拡大してみましょう。

滑らかに見えた画質も,拡大すると四角い小さなマス目(ピクセルあるいは画素という)がたくさん敷き詰められているのが分かりますね。
実はこのマス目それぞれには数値が入っており,その数値を色に変換して像が作られているのです。

このように,(一見滑らかに見えても)マス目に分かれていて,それぞれに飛び飛びの数値が割り当てられているのがデジタルの世界です。

 

一方アナログの世界はフィルム写真を想像するとイメージしやすくなります。

カメラフィルムにはハロゲン化銀という化学物質が塗られており,これが光と反応することによって色を焼き付ける仕組みになっています。こちらはピクセルのような区画は存在せず,連続的に変化するアナログの世界と言えるでしょう。

 

格子点

ここまで述べてきたようにアナログとデジタルの混在する世界の中でも,とりわけ昨今のコンピューター技術の発達によってデジタルデータを扱うことが圧倒的に多くなりました。

なぜなら,コンピューターは0と1という2つの数字に置き換えてデータを処理するため,アナログよりもデジタル化された情報を扱う方が得意なんですね。

 

さて,現在の天気予報はコンピューターを用いて行っているワケですが,機械に計算させるにはデータをデジタル化する必要があります。ではどのように気象情報をデジタル化しているんでしょうか?

 

結論から言ってしまうと,(デジタルカメラピクセルのように)規則正しく並んだ格子というものを考えているのです。

下は気象庁のHPから取ってきた格子を用いた数値予報のわかりやすいイメージ図です(気象庁 | 気象業務はいま 2020 | 第2部 気象業務を高度化するための研究・技術開発 (jma.go.jp)より引用)。

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図のように格子という細かい区画に分けて,気象要素などの値を各格子に割り当てて計算しているのですね。もちろん,区画に分けてしまうとその区画内の細かい地点の情報は失われるため,格子に含まれる地域の平均化された値を代表値として用いる客観解析)ことになります。

 

また,この一つの格子の領域を点として考えると,格子は格子点とみなすこともできますね(下図,以下「格子点」という言葉を使用)。

格子点は地上だけでなく,鉛直方向にも設定されており,3次元的な情報を扱って膨大な計算をさせています。格子の大きさが小さければ解像度の高い結果が得られる一方,格子点数が増え計算量は多くなりますので,この辺は現在の計算機の性能を鑑みながら条件を決めてやる必要があるようです。

 

まとめると,コンピューターを用いて天気を予報させる準備として,地球表面・大気を3次元的に格子(点)に分割して,それぞれの区画に気象データの代表値を割り当てることで,コンピューターが計算しやすいようなデータに成形しているのです。

 

【まとめ】学習の要点

ということで,今回学習したところで重要そうなところをメモしておきます。

自分的メモ!
  • コンピュータ上で行う未来の気象の予報値をはじきだすことを「数値予報」という。
  • 数値予報では,地球表面・大気を3次元的に格子点に分割して気象データの代表値を割り当てることで,コンピューターが計算しやすいようなデータに成形している。
  • 周囲の気象情報から,格子点に気象要素を割り当てることを「客観解析」という。

 

参考図書・参考URL

下記のサイトから画像などを一部お借りいたしました。