Weather Learning Diary

日常的な気象予測や天気図理解ができるようになりたい気象勉強初心者のブログ

【天気図】2024年春の黄砂

 

今年も黄砂の季節がやってきました。今回は黄砂を深堀りしてみます。

 

 

黄砂とは何か

黄砂については以前勉強していますが,もう一度復習しておきます。

weatherlearning.hatenablog.jp

 

冬の大陸は,地上がキンキンに冷やされてシベリア高気圧が発達しています。そのため高気圧下にある中国大陸内陸部では穏やかな天候が続くのですが,春になって気温が暖かくなると,低気圧通過などで上昇気流が起こり砂が舞い上げられ太平洋側へと飛来してくることがあります。これが黄砂です。

黄砂の由来となるのは,中国の内陸部にあるゴビ砂漠タクラマカン砂漠といった砂漠から飛来する砂です。

砂は地上数千メートルの高さまで舞い上がるようで,それらが偏西風に乗ることで中国の東にある韓国,北朝鮮や日本などに運ばれるのです。

 

この黄砂の飛来がいつまで続くかというと,4月をピークに2月から5月まで続きます気象庁|黄砂観測日数の経年変化 (jma.go.jp))。これからがピークといったところでしょうか。

 

で,この黄砂なんですが,ただの細かい砂かと思っていたら,そういうワケでもないんですね。

黄砂に元々含まれている鉱物が金属アレルギーを誘発したり,飛来する過程で花粉や汚染物質を吸着することによって深刻なアレルギー症状を引き起こしたりすることが懸念されています。これらが洗濯物に付着することもありますから,(特に小さいお子さんの)アレルギー症状には気を付けなければいけません。

それだけでなく愛車に大量に砂が降ってきたり,外出しなくなることで経済活動も縮小するなど人間にはなかなか厄介な存在であるようです。

 

その一方で,黄砂が完全な悪者と決めつけるのも時期尚早のようです。

例えば,2023年の九州大学広島大学などの研究結果では,黄砂は海水中の鉄の重要な供給源であることが示唆されており,北太平洋の生態系を育むうえで大きな役割を果たしている可能性が考えられていたりもするのです。

 

自然というのはホントに絶妙なバランスで維持されているのだと考えさせられます。

 

衛星画像の黄砂

黄砂がどのへんに浮遊しているのかを確認するには,気象庁から発表されているひまわりの衛星画像(気象庁|気象衛星ひまわり (jma.go.jp))が視覚的に分かりやすいかと思います。

下は2024年3月30日の衛星ひまわりトゥルーカラー再現画像になりますが,日本海上に白い雲とは明らかに異なる茶色い帯が観察できますね。これが黄砂のようです。

この黄砂も,時間の経過に伴って西から東へと移動するのが見られ,雲と同じくらいのスピードで移動していることから偏西風の影響を受けていることが推察できます。

偏西風に乗った黄砂は,その通り道になる韓国や日本に到達することになるのですが,一部はアメリカまで到達していることが近年の研究から分かっているようです。

恐るべし,黄砂ですね。

 

天気図上の黄砂

では,地上天気図上で黄砂は表現されているのでしょうか。

下は2024年3月30日のASAS(アジア太平洋域実況天気図)ですが,注目点は朝鮮半島

拡大してみると,現在天気が「」と表記されていました。

この「」という記号は,砂(Sand)の頭文字から来ているようで,空中に砂やちりが浮遊しているときに付けられるようです。今回の場合はもちろん大陸の砂漠に由来する黄砂が浮遊している状態です。
この日,韓国ソウルでは黄砂の影響により視界が悪い状態が続いたことがニュースにもなっていました。

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このように,大陸から飛来する黄砂は人々に健康被害をもたらすため,その飛来が落ち着く6月までは注意しないといけませんね。

特に,この時期は昼夜の寒暖差や花粉の飛散,新生活のストレスなど大きなイベントが立て続けにくるので,体調管理には十分に気を付けなければいけません。

 

参考図書・参考URL

下記のサイトから画像などを一部お借りいたしました。