Weather Learning Diary

日常的な気象予測や天気図理解ができるようになりたい気象勉強中の社会人ブログ

気象予報士試験合格までの軌跡③

 

今回で最後です。気象予報士試験に合格するまでの軌跡です。ご興味ございましたら。

 

 

実技のスピードと精度の向上

 2度目の試験結果が不合格と判明した2024年10月半ば,再び気象の勉強を再開した。専門知識には合格しており,心持ち余裕が少しばかりあった。とにかく年末までの2ヶ月程度は,実技試験について精度を高めようと意識した

 前回試験までの時点で,過去6年ほどの実技試験を2周していたので,3周目を実施することになる。このとき意識したことは以下の4点。

①制限時間とスピード

実技試験は75分という短い試験時間の中で,大量の図表の処理を求められるため,悠長に取り組んでいたら確実に時間が足りなくなる。これまでは時間を計測せずに実技試験を解くことも多かったのだが,この時から制限時間をあえて厳しめに設定して,時間内に解ききることを目標とした。過去問も3周目となると,これまで解いたことのある問題なので,(忘れはするものの)内容についても真新しいものはない。それをだいたい65分程度の10分余裕をもって解ききるという負荷をあえて自分に課した。

②図の読み取り精度

例えばエマグラムの自由対流高度の読み取りや,雲頂の気温,トラフの位置など,それぞれ10hPa,2℃,1°ズレたりすることが良くあった。正直これまでは,この図の読み取りは「だいたい」でやっていたのだが,ここの図の読み取り精度を向上させることを意識づけた。どういう解析をすれば模範解答の結果に近づくのかを試行錯誤した(それでも,第63回試験の実技の模範解答と比較して私の解答は10hPaほど雲頂高度はズレたりしている)。個人的に大事だと思ったのは,「だいたい」という曖昧な基準ではなく,自分なりの解析方法を確立しておくこと。自分軸があったら意外と自信につながった。

③自身の記述のクセ

2周した過去問の答案用紙はすべて保管していた。3度目の解き直しをすると,過去3回分のデータの蓄積があるので,同じところで躓いていたり,同じような記述をしていたりと自分自身のクセが見えてくる。模範解答のようなスッキリと書ける記述を,回りくどく説明していることも多く,そういった場合には「定型句」のような“型”として,模範解答の言い回しをそのまま覚えてしまった(例えば,「山岳の○○側斜面で,空気塊が地形に沿って上昇する」や「風速は低気圧の××側で相対的に強く最大30ノットで,●●側で最大10ノットと弱い」など)。

④ノートを用いた丁寧な復習

何度も言っているが,ノートをつけることは学習する上で非常に効率的だと思う。図をペタペタ貼ったりして,天気図の見方を覚えて,時間があるときにパラパラ復習もしていた(下写真が私が実際につけていたノート)。

新しい問題を解きたくなるが,同じ問題を複数回解いてそれを完璧までに仕上げる方が,実技の精度を高めるという目的には合致した方法だと思う。



一般知識のやり直し

 一般知識に関しては,第60回,第62回と,過去に受験した試験でいずれもあと1点足りない状態だった。これを,私なりには,「基本的な理解は概ねできているが,詰めが甘い状態」だととらえた。ただ,過去2回一般知識が不合格だったこともあり,一般知識については苦手意識を持つようになっていた。

 ここで,『らくらく突破(一般知識編)』をもう一回やり直すことも考えたが,それだと結局同じ轍を踏みそうなので,これまでとは全く別の本で一般知識をやり直すことにした。

 『一般気象学』(東京大学出版会,小倉義光著)

 気象学の名著と名高い本だが,とりあえず購入していたものの,とっつきにくそうだったので本棚にしまわれたままになっていたのだ。結果的には,この本のやり直しが私には非常にプラスに作用した。

 他の参考書では得られない情報や視点を学ぶことができたし,内容が非常にロジカルで理論的なので,流れとして頭に入る。これまでブログをノート替わりにしていたが,ここで『一般気象学』用のノートを準備する。

 勉強を始めたのは,2024年12月下旬。試験のおよそ1ヶ月前 (もっと前に始める予定だったが,体調を大きく崩して1週間寝込むというトラブルがあり年末挽回した)。年末の休暇を使って,2週間ほどで読了してノートを仕上げた。内容も思っていた以上に難しくはなく,サクサク読み進められた。

 これに加えて気象法規についても丁寧に整理しなおした。この分野は,本当にただの暗記なので,『ユーキャンの気象予報士』というコンパクトな問題集などをつかって何度も見直した。試験の前日,当日試験会場に向かう電車内は,点が取れる気象法規だけを繰り返し復習していた。

 

第63回気象予報士試験と合格

 一般知識の試験が終わったときの感想は,過去2回と比較して解きやすいと感じられた。問題が簡単になったのか,直前に一般知識を一から勉強しなおして自分自身のレベルが上がったのかは,今でもよく分からない(おそらく両方だろう)。

 如何せん,これまで一般知識で2度落ちていることを考えると,どこかしらでミスなどしている可能性も考えられたが,心の中では今回は大丈夫そうだという手応えはあった(それでもやはり怖くて合否を見るまでは自己採点できなかった。また,本番は13点だったが,落とした2問はしょうもない計算ミスだった。どれだけ勉強しても,どれだけ見直ししても,本番でミスは出るものだと考えて試験に臨んだ方が良いという学びがここにある)。

 

 一方,実技試験は手応えは半々だった。実技1は試験が終わったときに「キツイかも」と思ったが,実技2は個人的には会心と思える出来であり,試験終了後の陶酔感が心地よかったことを思い出す。

weatherlearning.hatenablog.jp

 それでも実技の合計は合格点に届いてないだろうと思っていたので(手応え的には40%の確率で合格,60%で不合格というイメージ),合格だと知ったときは本当に安心した。喜びという感情よりもホッとした感情の方が大きかった。

 というのも,そろそろ先の見えない勉強を続けていくことに負担を感じ始めており(もともとは気象について詳しくなりたいと思って始めた勉強が,目先の試験に合格することに目標が変わってしまって,気象を楽しく学びたいという本来目指した形から乖離が生じ始めていることに気がついた),どこかで試験勉強に区切りをつけたいなと考え始めていたからだ。

 

 結果的には,およそ2年の勉強期間で,少しずつ勉強してきたことが,試験合格という一つの形として現れたことで報われたような気がした。

 

モチベーションの維持

 結果的に合格をもぎ取れたワケだが,これまでの軌跡を振り返って思うに,勉強を続ける上で何より重要なことはモチベーションを維持しつづけること。そして,正直それは,どんなものでも良いと思う。

 私のモチベーションは,気象について詳しくなりたかったというのが根本にはあるが,他にも,このブログを通して資格試験勉強を開始したことを公に宣言したので,「やっぱ試験難しいので諦めました」とか言っちゃったらカッコ悪いなぁと思って勉強を続けてきたところもある。また,単純に気象予報士の資格を持っているとカッコいいから。とにかく勉強が続けば,理由なんてなんでもいいのさ。

 

 ちなみに,芸人のあばれる君も気象予報士を目指しているようで,その理由が素敵すぎたので以下に引用しておく。

diamond.jp

夢としては、夕方のニュースでお天気お兄さんとして、きっちりとした自分の見解を基に天気を予報して外し、翌日に土下座で謝るという流れをやりたいのです。当たったら当たったでそれは嬉しいですし。その壮大なコントのために、コツコツとやらなくてはならないのです。

 

さいごに

 ということで,3回にわたって私のこれまでの勉強を振り返ってみました。少しエラそうな文章になってしまったかもしれませんが,当時(あるいは振り返りの中で)感じたことや考えたことを正直ベースで書いてみました(当然,記憶は完璧ではないので,一部で補正がかかってるかもしれません)。

 また,あくまで私はこういう風に勉強に取り組んだのであって,この方法が良いと押し付けているわけでも決してありません。参考にできる点や反面教師にできる点が少しでもあったのであれば,ご自身の勉強に反映させていただければ幸いです。

 この2年間,仕事の傍ら,時間が空いたら少しずつ勉強してきましたが,社会人をしながら資格を取得することの大変さを知ることができました。また,私は気の向くままに勉強をしてきたわけですが,結局は趣味の範囲を超えるものではなく,この資格が今の仕事に活用されるかというと,何一つ接点がないというのが事実ではあります。

 それでも気象の世界が新しく自分の中に広がったので,この勉強を開始して本当によかったと思います。

 

 最後に一つ言えることは,独学で合格したという事実に価値はほとんどないということです*1。独学でも合格しなければ意味がないですし,スクールや通信講座でも合格したら勝ちなのです。ですので,本気で将来気象予報士になりたい,気象予報士試験に合格したいと思っている方は,独学よりもスクールや通信講座に通って,プロの方に添削や指導を受けた方が,確実ですし早いと思います

 誰の相談も受けずに我流でここまで来た私は,未だにトラフや前線の引き方は今一つよくわかっていないというのが正直なところです(苦笑)。

 

 

(参考)2年間の勉強でかかった諸費用

受験料:3万3200円也*2

参考書代:約4万円也*3

プリンターインク代:約5千円也*4

印刷紙代:約1500円也*5

文房具代:約7千円也*6

試験会場までの交通費:約3千円也*7

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合計:約9万円也

 

もっと少ないと思っていましたが,独学でも思っていた以上にお金がかかっていました。

 

 

*1:敢えて独学の良いところを挙げるとすれば,自由気ままに勉強を進められること,お金を安く済ませられること,参考書以外に頼るものなく合格できたという一瞬の満足感が得られること笑,くらいです

*2:免除科目なし11400円を2回分と1科目免除10400円の合計

*3:購入したはいいが,ほとんど使用しなかった参考書・問題集もいくつかあったのでそこは無駄遣いしたなぁと感じる。だいたい新品購入だが,古本やメルカリなどを使うともっと安上がりかも。ただし専門知識は内容がどんどん書き変わるため,最新版を入手するのが良い。尚,本金額には趣味範囲の科学読物や図鑑などは含めていない

*4:実技試験を印刷するために何本か購入。正規のインクを使うと値段もバカにならないので,廉価な互換インクカートリッジでケチった

*5:気象予報士試験のためだけに1000枚以上印刷していることが判明。驚きでしかない

*6:ノート代,筆記用具代,過去問保管ファイル代などが含まれる。ディバイダという文具も買ったが一度も使わなかった

*7:ここは住んでいる場所によりけり。私は試験会場まで電車で1時間程度で着くような場所に住んでおり費用は安く済ませられるが,四国や北陸や東海,南九州,北海道などにお住いの方は交通費だけでかなりかかるはず。その辺りは気象業務支援センターの方も,もう少し融通を利かせてもよいのではと感じる