今回,第63回気象予報士試験に合格したことを受けて,これまで私がお世話になった参考書やウェブサイトを感謝の意を込めて(本音で)紹介させていただこうと思います。
すでに気象の勉強をしている方にとっては馴染みのものとは思いますが,これから気象学の勉強を始めようと考えている方は参考にしていただけたら幸いです。あくまで私見であることはご留意ください。
使用した参考書・問題集
まずは私の勉強の上で役に立ったと思う参考書や問題集です。
①『イラスト図解 よくわかる気象学』(一般知識・専門知識・実技)ナツメ社

おそらく最初にこの本を手に取らなければ,気象の勉強を始めようとは思わなかったと思います。とにかく気象勉強の入門者に分かりやすく書かれており,イラストなどを用いて視覚的にも理解しやすい内容になっています。
勉強を開始したての当時の私のような,気象について何の知識もない方にとっては,この本から入るのがオススメ。
ただ,気象学の大きな枠組みを理解できる一方で,気象予報士試験で問われる細かい知識は網羅しきれていない点も多いため,他の参考書と併用しながら使用するのが良いのではないでしょうか。
『実技編』に関しては,過去試験の良問が選抜されており,解き方・考え方も詳細に解説され,小冊子となっていて使いやすい点からも,他の実技試験の解説書に比べて優れていると個人的には感じています。
②『らくらく突破 気象予報士かんたん合格テキスト』(一般知識・専門知識)技術評論社

こちらは気象予報士試験に特化した内容となっており,先に紹介した『イラスト図解 よくわかる気象学』では網羅されなかった細かい知識も解説されます。そのため『イラスト図解~』とこの『らくらく突破』の2冊を私は並行して勉強していました。
気象予報士の勉強をしている人はほぼほぼこのテキストを使っているのではないかと思うほど,メジャーな参考書と思います。専門知識については,他の参考書に比べて内容が一段濃いため,とても重宝していました。
『実技編』もありますが,類書と比較して特筆する点はなかったので割愛させていただきます。
③『一般気象学』 東京大学出版会

名著です。世の中でバイブルと支持されているのも頷ける,気象学の名著です。ただ,気象の勉強を始めた当時の私がこの本を最初に手にしていたら,確実に挫折したと思います。出てくる数式などもそれなりに高度なため,ある程度気象学の知識をもったうえで臨まないとついていけなくなるかなと。大学の教科書として使われている本のようですので,文字多めで堅苦しさは否めません。
私の場合は,とりあえず購入はしていたのですが,積読状態となっており,私が気象予報士試験に合格した第63回試験の1ヶ月ほど前から,一般知識の勉強の際に初めて本を開きました。内容は高尚で,気象予報士試験で出題される問題も,この著書の図が引用されていることも少なくありません。
この本を一周したことで,私が苦手意識を感じていた一般知識について,一段レベルが上がった感覚はあります。
一般知識の勉強には最適ですが,専門知識や実技についての内容はほぼ記載されていない点には注意が必要です。
④『気象予報士試験精選問題集』 成山堂

精選問題集というだけあって,過去に気象予報士試験で出題された良問がピックアップされます。個人的には10個の凡庸な問題を解くよりも,良問と呼ばれる問題を1つ解く方が学ぶことが多いと考えているので,この問題集は積極的に活用しました。
試験前の1~2ヶ月ほど前から学科分野の最終確認の位置づけとして使っていました。一方,実技のページは過去問の答え合わせに解説を読む程度の使い方でした。学科はたしかに良問が揃っている印象はありますが,実技はここ最近の問題をとりあえず載せといた感が強くて,『イラスト図解~』の実技編をやった方が,解説も詳細で学びが多いと感じます。

持ち歩きやすいので,通勤時や寝る前のベッドなどで,時間がとれるときは1日数十分程度眺めてました。過去問が一問一答形式となっており,見やすいし使いやすい。大切なポイントはきちんと押さえられており,思っていた以上に良い本と思います。気象法規は上記で紹介した参考書よりも情報量が多いので重宝していました。巻末の方に実技試験も少しだけ記載されてますが,見づらいため解くことはなかったです。
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以上,私の使用した参考書・問題集の紹介でした。これらの書物を,それぞれの用途によって使い分けて使用していました。
私の場合は上記の8冊あれば十分でした。他にも数冊ほど別の参考書も購入はしたのですが,この8冊に網羅されている以上の情報はあまり得られなかったように感じました(私の場合はこれらの本を最初に購入したため,これらがメイン本になりました。他にも良い参考書はたくさんありますので,最初に手に取る参考書次第だと思います)。
個人的には,気象予報士試験の実技試験については,もっといろいろ本が増えても良いと思います。特に,この問題にこういう記述をすると得点もらえないよ,という間違いに焦点を当てた誤答集とかがあったら有難いと思ったので,どなたか作ってくださいm(__)m(きっと売れるはず。知らんけど)。
参考にしたWebサイト
教科書だけでは網羅されない分野や,より深い学びを得たいときに活用したwebサイトです。
①気象の専門家向け資料集(気象庁)
このサイトにすべてが詰まっているといっても過言ではないほど,気象庁がどういった基準で解析しているかのウラ事情(?)が記載されています。
全部目を通すのは到底無理なので,一部自分が興味がある資料などをダウンロードして参考にしていました。
例えば,前線解析とかの資料は結構眺めていたと思います。
②めざてんサイト
実技試験の解き方が分からなかったので,実技試験の記事はだいぶ参考にさせていただきました。『メンバー登録(無料)』をして『ログイン』することで,現在では入手できない過去の気象予報士試験がアーカイブされているので,これも私としては非常にありがたく活用させていただきました。
他にもいくつものWebサイトを参考にしましたが,コンスタントにフォローしていたのは上記の2サイトくらいと思います。
参考にしたYouTubeチャンネル
上記の参考書やウェブサイトを用いて一般知識や専門知識,実技試験の解き方を学ぶことは,気象を理解するうえで大切とは思いますが,それらの知識・技術だけでは日々の気象を予測することは困難だと思います。
そこで,「生きた日常的な天気予報」を理解するために私はYouTubeを活用していました。
①Team SABOTEN 気象専門STREAM
無料でこんなの配信してくれるの?って思うほどに,良質な生きた天気予報が解説されます。このチャネルの中の『拝啓,予報官X様』というコーナーは約140回の動画を全部観させてもらいました(全部1.5~2倍速で)。実技試験の解き方についてしっかりと指南してくれるような参考書が少ない中で,プロの思考回路を理解できる動画は非常に貴重だと感じます。
②マニアック天気
ほぼ毎日更新され,いろいろな天気図を用いて多角的に気象を予想するため,天気図をどのように読むのかが非常に参考になります。1動画あたり10分前後とコンパクトで,通勤時や寝る前などに少しだけ時間を費やすだけで良いので,タイパ(タイムパフォーマンス,最近の流行りの言葉ですね。あまり好きな言葉ではないですが)が良いと思います。
さいごに
ということで,試験対策として活用した書籍やウェブサイトの紹介でした(それぞれの本の良い面と悪い面を本音で書きました)。あくまで私はこれらを使ったということで,自分に合った参考書などを見つけることが何より重要と思います。
また,同じ分野でも,教科書によって視点が異なったりすることもあるので,2冊程度を見比べながら勉強するとより効率的に勉強できると思って,私は2冊(多くとも3冊)同時並行で流していました。
参考書マニアになって,たくさんの本を購入してしまう方もいらっしゃいますが,そんなに持っていても結局重宝するのは数冊なので,ある程度の取捨選択は必要かなと思います(私も他に何冊か購入したが,結局ほとんど使わなかった)。