Weather Learning Diary

日常的な気象予測や天気図理解ができるようになりたい気象勉強初心者のブログ

【気象学勉強】第58回 日本の四季と気圧配置④〜梅雨〜

 

ここまで夏,冬,春・秋の天気について紹介してきました。今回は四季にくわえ,「梅雨」について。もうそろそろ梅雨の季節ですね。

梅雨に入る前にそのメカニズムについて理解しておけば,お天気博士として自慢できることうけあいです。

 

 

梅雨について

梅雨と書いて「ばいう」もしくは「つゆ」と読みます。

語源としては,この季節に梅の実が熟すことからという説や,カビが生えやすい季節ということで「黴雨(ばいう)」と呼ばれていたという説などさまざまなようです。また「つゆ」という言葉も,梅の実が熟して潰れる「潰ゆ(つゆ)」という言葉が語源という説もありますが,実際のところハッキリとしたことは分かっていないんだそうで。

 

さて,その梅雨がなぜ起こるかについてちゃんと理解している方は少ないのではないかと思います。私自身,梅雨ができるメカニズムを今回勉強してようやく分かった次第です。

 

中学・高校の理科(地学)では,梅雨はオホーツク海高気圧と太平洋高気圧とのせめぎ合いによってつくられると教えられることが多いそうですが,実のところこの説明だけでは不十分なのです。

過去の天気図をめくってみても,梅雨時期にオホーツク海に高気圧が必ずあるかというと,必ずしもそんなこともありません。

昨年2022年の沖縄が梅雨入りしたあとの数日間の地上天気図を見てみると(気象庁HPより,https://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/hibiten/index.html),たしかにオホーツク海に高気圧が居座っているかというとそうでもなさそうですね。

しかし,日本では毎年梅雨が1ヶ月以上も続くわけですので,オホーツク海高気圧・太平洋高気圧以外のメカニズムがあると考えられます。

そして事実,梅雨にはモンスーンだったりヒマラヤ山脈などが関係することが報告されています。

 

それでは,この複雑なメカニズムによっておこる梅雨の仕組みを見ていきましょう(ただし梅雨が起こるメカニズムについてはさまざまな意見があるようで,絶対的に正しい説というものはない)。

 

沖縄・奄美地方の梅雨入り

5月中旬前後に日本で最初に梅雨入りするのは沖縄・奄美地方です。

北半球が暖かくなるにつれて(冬は南の方を吹いていた)上空のジェット気流も北の方へと移動してきます。

そしてやがてジェット気流ヒマラヤ山脈とぶつかり,北と南の2つの方向に分岐するようになります。

北に向かったジェット気流は大きく蛇行して元の緯度に戻ろうとします。このとき気圧の谷ができるワケですが,気圧の谷の西側(後面)では収束が起こって地上で高気圧が生まれるのです(その理屈は前回説明しています)。

 

この高気圧による風の吹き出しと,インド洋・東シナ海の南西からの季節風(モンスーン)がぶつかることによって梅雨前線が作られると考えられています(下図)。

 

 

九州・四国・本州の梅雨入り

だいたい6月に入ると,日本の各地で梅雨入りが発表されます。

このころ,太平洋高気圧が日本付近まで張り出してきて,温かく湿った太平洋高気圧の縁辺流(高気圧周辺を流れる気流を「縁辺流」と呼ぶ)が日本の南から流れ込んできます。これがモンスーンの代わりとなって北からの風と合流して梅雨前線をつくりだします。

また,ヒマラヤ山脈によって北と南に分かれたジェット気流カムチャッカ半島付近で合流し,上空では空気の収束が起こります。上空で収束した空気は地上へと逃げて,下降気流が生まれ地上が高気圧となります。これがオホーツク海高気圧です。

そしてオホーツク海高気圧と太平洋高気圧がぶつかることで,太平洋側にも長く伸びた前線ができるのです(下図)。

 


昨年の6月下旬の天気図を見てみると,今度はオホーツク海に高気圧が居座っているのが分かります。ちなみに,オホーツク高気圧の勢力が強いと,東北地方などで「やませ」などの風が吹き,冷害を引き起こすこともあるようです。

 

梅雨の仕組みは非常に複雑で,未だに研究者もさまざまな説を唱えていたりもするようなので「これがすべてだ」とは言えないのですが,だいたいこんな感じで梅雨が引き起こされるようです。

 

【まとめ】学習の要点

今回学習したところで重要そうなところをメモしておきます。

自分的メモ!

 

参考図書・参考URL

下記のサイトから画像などを一部お借りいたしました。