Weather Learning Diary

日常的な気象予測や天気図理解ができるようになりたい気象勉強初心者のブログ

第60回気象予報士試験振り返り~一般知識②~

 

前回からの続きです。一般知識で私がどう解答したか(受験時の思考),実際にはどう考えればよかったのかを振り返ります。

 

 

第9問 成層圏

 

これはいろいろ混乱した,自分の理解度の甘さを痛感した象徴的な問題となりました。

 

受験当時の私の思考

成層圏の問題か。成層圏で起こっていることって雲の上の話なのであんまり実感湧かないから苦手なんだよな・・。

(a)7月(夏)の北半球は地軸が太陽方向に傾いているため降り注ぐ太陽光は多くなっているよな。さらに北極の夏は日が沈まない白夜になるから,一日中太陽の光が届いているので成層圏では全球で最も気温が高くなったという記憶がある。記述は正しそうだ。

逆に,1月(冬)は北極は最も気温が低くなる。(c)は自動的に「低い」が正解になる。よって①~③の3択に絞られた。

また,(d)については冬にアリューシャン高気圧が発達しやすいことは記憶として覚えていたので,「高気圧」が正解になるから,選択肢の①か②の二択になる(冬には「アリューシャン低気圧」も発達します。成層圏では「アリューシャン高気圧」,対流圏下層では「アリューシャン低気圧」が発達しやすくなります。たまたま「アリューシャン高気圧」という言葉だけを記憶していたので,正解できただけのことで,受験時はちゃんと理解できていませんでした)。

 

(b)は成層圏で最も気温が高くなるから層厚が厚くなって「高気圧」になるのかな。あれ,いや待てよ,気温が高くなると密度が下がるから「低気圧」が正しいのか?温度が低いってことは密度も大きくなるから高気圧になるんだっけ??低気圧か高気圧どっちになるんだったかな。。

 

ということで,「気温」と「層厚の厚さ」と「気圧」の関係がごっちゃになっているんですね。下のyahoo知恵袋の質問にあることが私の疑問そのものなわけです。

結局一度①にしたものの,やっぱり不安になって②に変えました。

正解は①でしたので,私はこの問題を間違えたことになります(層厚の厚さが(高層天気図の)等圧面で見たときに,高気圧・低気圧として現れるという理解が正しいのかな)。

 

今でもこの点をきちんと論理立てて説明できないので,中途半端に理解したままなのです。気象において非常に重要なポイントなのは分かっていますので,この点については今後もう少し自分の頭の中で整理する必要があります。

 

 

第10問 大気境界層

 

思考

まず(b)だけど,接地逆転層は夜間から早朝にかけて放射冷却が起こり接地逆転層が形成されやすかったはず。昼間は太陽放射によって地表の空気が温められて対流が起こるはずなのでこの記述は誤りと判断。

ここで②,④,⑤のいずれかが正解であると絞られる。

そして(d)については風速は地表に近いほど地形との摩擦が大きくなり遅いはず。そのため風速は高度とともに増加するというのは合っていそう。対流混合層では大気は対流によってかき混ぜられるため,混合比や温位や風速は高度を通してほぼ一定であったはず。なので正しい。②,⑤の二択まで絞られた。

 

残りは(a)と(c)だがよく分からない(覚えていない)。

(a)はなんとなく正しそう。(c)も対流混合層で混合比が一定であるという記憶があるので正しそう。

よって②にしておこう。

 

はいこちら私の回答結果は間違いとなります。

(a)正午ごろの接地境界層は太陽からの放射を受けて温まりやすいため乾燥断熱減率よりも大きくなるというのが正解でした。

(c)対流混合層での相対湿度は一定になりません。よって誤りとなります。

 

(c)については試験中にもう少し考えていたら間違いだと気づけたはずですが,残念ながらそこまで頭が回りませんでした。

この大気境界層・自由大気の分野はページをパラパラめくっただけで,あまりちゃんと取り組んでいなかったのが理解不足の大きな原因です。

 

 

第11問 気候変動

 

お次は気候変動の問題です。

 

思考

(a)これは覚えている。100年あたりの世界平均気温は約1℃の気温上昇だったはず。なので「100年あたり2℃以上」というのは誤り。これは単純に記憶していないと解けない問題だな。あとは2℃はさすがに上昇率が大きすぎるのではと感覚的なところで判断するしかなさそう。

(b)温室効果の意味についての問題。これは特におかしな点はなさそう。よって合っていると判断。

 

この時点で④を選択。100年間の気温上昇値を記憶していたのが回答につながりました。もし覚えていなかったらおそらく(b)が正解の①と④の二択で鉛筆を転がしていたことでしょう。

ちなみに(c)の問題は答えられませんでした(二酸化炭素の世界平均は2021年時点でおよそ415ppmだそうで,記述は間違っていることになります)。

 

解答を見ると④で合っていました。正解。ようやく7問目正解。

 

 

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ここからは気象法規についての問題が4問続きました。

法規関連はそんなに難しい問題ではないので確実に取る必要があるんですが,私は試験1か月前くらいから時間があるときにパラパラとページをめくるくらいの勉強しかしておらず(計算問題で得点しようと考えていた)なおざりにしていたので,それが合否を分けたと言っても過言ではないでしょう。

こういうところは確実に得点しなければいけないなと今になって反省しております。

ただ,気象法規関連のことが記載されている気象の教科書が少ないのも,この分野に手を付けづらい原因の一つではあると思います。

 

第12問 気象業務法

 

思考

まず変更があったときに気象庁長官に報告しなければいけないもので確実に記憶しているのは,(b)予報業務を行う事業所の名称・所在地。

(a)予報の対象区域 を変更する場合には「認可」が必要なはず。「報告」ではなかったと記憶している。よって③か④のいずれか。

(c)と(d)は思い出せない(覚えたかどうかも思い出せない)。ただ,③と④の時点でいずれの選択肢も(d)が誤りなので(d)はおそらく間違い。

(c)については分からないので,報告書だけで済みそうもなさそうと考え誤りと判断(私の考えは誤りで,気象庁の警報事項を受ける方法を変更する場合は報告書を提出しなければならない)。

これより④を選択。

 

しかし,私の回答結果は間違いとなります。

 

 

第13問 気象業務法

 

思考

(a)業務を行う予報業務事業者は,8時間以下なら2名以上,8時間を超え~16時間以下なら3名以上,16時間超えなら4名以上の専任の気象予報士を置かなければいけなかった。記述は誤り。これは覚えていた。

(b)これは正しい。

(c)これも覚えていた。気象予報士が欠員となった場合は2週間以内に対応しなければならなかった。よって誤り。

このことから④を選択。

 

こちらは正解。ここまでで8問正解。

 

 

第14問 気象業務法

 

思考

これは簡単だ。なぜなら気象業務法の一番最初に出てくる文言だから。それは覚えていた。

(a)「気象」とは、大気(電離層を除く。)の諸現象をいう。正しい。

(b)「観測」とは、自然科学的方法による現象の観察及び測定をいう。正しい。

(c)「予報」とは、観測の成果に基く現象の予想の発表をいう。間違い。発表が抜けている。

よって②を選択。

正解。ここまでで9問正解。

 

 

第15問 気象業務法

 

思考

これも覚えたところだ。

(a)正しい。

(b)これは義務(Must)なのか,努力義務(Have to)なのかの問題。これは下の図を記憶しておいたので分かる。警報と特別警報では都道府県知事,市町村長の対応が変わってきたはず。特別警報の場合は都道府県は市町村に通知事項を伝達「しなければならない」。

よって「努めなければならない」というような悠長なことを言っているのは誤り。

 

(c)は,「水防活動の利用に適合する警報」の部分が間違ってるのでは。水防活動の利用に適合する警報ではなく,「一般に適合する予報および警報」だったはず。これは過去問か何かで見た。よって誤りではなかろうか。

(d)基本的には警報や特別警報は気象庁以外の者は出すことができないはず(ただし津波警報だけは例外で市町村長が出せる)。よって記述は誤りと判断。

以上から③を選択。

 

結果は正解。ここまでで10問正解。

試験問題終了~。

 

 

はい,ということで最終的な結果は10点ということになります

過去問からいくつか似た問題が出ているそうなので,過去の試験に当たって練習するしかなさそうですね。あとは気象法規関連は確実に取れるようにしといた方がいいということを学びました。

 

 

さて,次回からは専門知識の試験結果について振り返ります。

こちらはいくつか凡ミスをして失点するというもったいないことをしているので,そういった点をなくすのも今後の課題でしょうか。