Weather Learning Diary

日常的な気象予測や天気図理解ができるようになりたい気象勉強初心者のブログ

第60回気象予報士試験振り返り~一般知識①~

 

今回は第60回気象予報士試験の一般知識について振り返りを行います。ちなみに結果は不可でした。

どこが間違っていたのか,どこが合っていたのかを確認していくことにします。

 

 

第1問 地球大気成分とオゾン層

 

私の思考(当時復元)
高度80kmまでの中間圏までは乾燥大気の組成は一定だったはず。78%が窒素,21%が酸素で,残りはアルゴン(約1%)と二酸化炭素(0.0** %←曖昧)くらいだったかな。

よって(a)は誤り。酸素は容積比で30%を超えない。容積比って言葉がなんだか難しくさせている印象はあるが,結局同じ気体なので組成とも言い換えられるだろう。

(b)についても誤り。アルゴンが酸素と二酸化炭素の間に入る。

(c)オゾンの生成の問題。オゾンは成層圏で太陽光の紫外線を受けて酸素分子から酸素原子に分離して作り出される。太陽光が多く降り注ぐ赤道付近で最も生成が盛んだが,成層圏にはブリューワー・ドブソン循環があって赤道から高緯度地方にオゾンが運ばれて極に近い高緯度地域で濃度が最大になったはず。よって前半部の記述は正しいが,後半部の「オゾン全量は低緯度地域で多い」という表現は誤り。

だから答えは⑤だ。

 

ということでこれは解答を見ると⑤で合っていました。ここは気合が入っていた初期の方で勉強したのを覚えています。私の解答は正解でした。まずは1問正解。

 

 

第2問 混合比・飽和水蒸気圧

 

受験したときに最も手こずったのがこの問題です。ゴリゴリ計算で求めようとしても答えが求められず,第2問目にして動揺したことを覚えています。

計算で飽和水蒸気圧と持ち上げ凝結高度を文字  e h で置いて解こうとしたんですが時間だけが無駄に過ぎました。結局最後に回し,およそ20分くらいこの問題に時間をつぎ込むことになりました。

 

以下,最初に試した思考。

凝結していない(凝結高度に達していない)ということは,水蒸気の混合比は一定であるってことだな。

だから,混合比は12.4g/kgのままなので,持ち上げ凝結高度において以下の式が成立するはず。

 

 \dfrac{持ち上げ凝結高度における(飽和)水蒸気分圧}{持ち上げ凝結高度における気圧} = \dfrac{12.4}{620} = 0.02 ・・・(A)

 

ここで,持ち上げ凝結高度における飽和水蒸気圧を  e ,持ち上げ凝結高度における気圧を  p , 持ち上げ凝結高度を  h と変数に設定しておこう。 

 

 (A)式より  e = 0.02p  ・・・(B)

 

なので変数は一つ消えるな。さて, e h を求めてみると。。断熱変化の式とかが必要にならないか,コレ?どういう式を立てればいいんだ?

 

・・・

 

ここで一回手詰まりになりました。なんでもかんでも数式で解いてやろうと考えたのがダメでした。ここで他の問題のことも考えて一度退散。結構動揺しましたね。

 

残り10分になったときに再びこの問題に。

考え方を変えて,表の値を代入して矛盾がないことを示す方針に切り替えました。

 

まず空気が上空に持ち上がったら断熱冷却して気温が低下するので飽和水蒸気圧は下がるはず。よって選択肢は④,⑤の2択に絞って値を代入しよう。もし両方で矛盾がなければ最後は当てずっぽうにして,とにかくマークシートは埋めなければ。

 

④の飽和水蒸気圧18 hPa が正解だったと仮定。このとき持ち上げ凝結高度は1000mなので,持ち上げ凝結高度における気圧(  p )は表から900hPa。

(B)式を利用すると,持ち上げ凝結高度における水蒸気分圧  e は,

   e = 0.02×900 = 18(hPa)

となり矛盾しない。こちらは良さそうだ。

 

 

⑤の飽和水蒸気圧16 hPa が正解だったと仮定。

このとき持ち上げ凝結高度は1200mなので,持ち上げ凝結高度における気圧(  p )は表から880hPa。

同じように(B)式を利用して,持ち上げ凝結高度における飽和水蒸気分圧  e を求めると,

   e = 0.02×880 = 17.6(hPa)

となり16hPaと矛盾。

 

よって正解は④。試験時間残り1分で何とかひねり出した答えでした。

表から値を矛盾しないことを解くという方法もあるんですね。こんな解き方ってアリなのか。気づかんかったわ。でも⑤で矛盾がなかった場合はどうやって解くんだろう?

 

解答を見ると④で合っていました。辛くも正解。ここまで2問正解。

 

 

第3問 静力学平衡

 

こちらは問題の不備があったようで,全員に点数が来たようです。

そのため振り返りは省略しますが,私は②を選択していました。

ということでラッキー正解。ここまで3問正解。

 

 

第4問 冷たい雨

 

次は「冷たい雨」の問題。

思考

(a)氷晶核もエアロゾルの一種で火山灰などが挙げられるが,凝結核と比較してもその数が少なかったのは記憶している。この記述には特に変な点はなさそう。

(b)冷たい雨では,昇華凝結過程が起こり氷晶が独占的に成長する過程が起こったはず。これは氷面に対する飽和水蒸気圧が水に対するそれよりも低いためだったはず。これも正しい。

(c)イメージ的には氷の表面が濡れているか,乾いているかで異なりそう。濡れてる方がくっつきやすいのでは?それは温度に依存するはず。間違いではないだろうか?

(d)雪が溶けるかどうかは途中の大気の温度だけではなく湿度も重要だった。湿度が低いほど(乾燥しているほど),比較的高い気温でも雪は溶けずに地上に達することができる。よって間違い。

 

このことから,(a)は〇,(b)も〇,(c)は✕?,(d)は✕ なので②が正しそう。よって②を選択。

 

正解。ここまで4問正解。

 

 

第5問 大気放射

 

思考

(a)プランクの法則とは「波長と温度に依存して,黒体からの放射量が決まる」ってやつだった。吸収量の計算に適用するってところが誤りかな?黒体が電磁波を放射するのと同じだけ吸収するのはキルヒホッフの法則ではなかっただろうか?

(b)これは明らかに間違い。成層圏の酸素分子・オゾンが太陽放射の有害な紫外線を遮ってくれるわけで,成層圏界面に達する前(すなわち熱圏や中間圏)の出来事ではない。

(c)これも明らかに誤り。温室効果が大きい気体は水蒸気。

(d)これは一瞬正しそうかと思ったが,よく考えてみると入射太陽放射量にアルベドを掛けたものはそもそも地球大気に入ってこず反射される放射のことではないか。放射平衡とは地球に入ってくる熱と地球外へと出ていく熱が釣り合っているはずなので,上向き地球放射量は,入射太陽放射と(1-アルベド)の積に等しいとするのが正しいのかな?

よってすべて間違ってそう。⑤を選択。

 

これも正解。ここまで5問正解。

という感じでここまでは順調に点を稼いでいたのです。

ここからあまり目にしたことのない問題と向き合い,怒涛の不正解ラッシュに入ります\(^_^)/。

 

 

第6問 大気力学

 

思考

何だこれ,あんまり見慣れない問題。

とりあえず静力学平衡の式が使えそうなのは分かる。

 

まずは静力学平衡の式を書き出してみることにするか。

   \Delta p = -\rho g \Delta z

この式から, \Delta p は  \rho \Delta z に依存して変化することが分かる(重力加速度は定数)。

ただ,この問題では  \Delta p=(一定) なので,

   \rho ∝ 1/ \Delta z ・・・(C

が成り立つはず。すなわち密度は高度差に反比例する。

 

そうするとあとは高度差  \Delta z に着目すれば良い。

西の方が高度差が大きいので,(C)式から,

  (西の空気の密度)<(東の空気の密度)

が求まった。よって下線部(a)の記述は正しそう。

 

 

(b)からはあまり理解できなかった。

気圧の谷があるからその前面は北側に風が吹いている??

 

(c)も良く理解できなかった。

気圧の谷の後面だから南向きの風が吹いている?ということは北の方の冷たい風が流れてくるってこと?と考えると温度が低い空気が北の方から流入するなら記述は正しそう(西の方が層厚が厚いので温度が高いというのが正解のようです)。

(d)も良く分からなかったので,(a)〇,(b)〇?,(c)〇? からこの時点で①を選択。

 

結果的には間違えています。不正解。正解は②です。ここで初めて間違えました。

気圧と高度の関係性は天気図でも基本ですが,この辺の理解があまりできていないことがあるので,まさにそこを突かれた感じの問題でした。

 

 

第7問 大気力学

 

思考

これもあんまり見慣れない問題。

(a)傾度風についての力の釣り合いを述べているだけ。記述は正しい。

 

次から計算問題。

これも静力学平衡の式を使いそうなので書いておく。

   \Delta P = -\rho g \Delta Z ・・・(D

 

中心付近では高温なので空気の密度は小さいはず。一方,周辺の点Rは低温なので空気密度が大きいはず。

このことから(D)式にこの関係を当てはめると,

   \rho_R > \rho_O であるから

   \Delta P_R > \Delta P_O

を得る。よって(b)は正しそう。

 

この時点で①か②の二択となった。

じゃあ2000mでの中心と周辺部の気圧差はどうなるかってことですが,私は以下のように考えました(結果的には間違っていた)。

 

中心部は高温なので層厚も厚くなり,等圧線間隔も広くなるのでは?

一方周辺部では低温なので等圧線間隔も狭い?

 

図にすると下のような感じ?

 



等圧線が何本も横切っている2000hPaの方が気圧の差は大きくなるのでは?

てことで②を選択しておこう。

 

 

でもこれは不正解

(c)と(d)は今でもよくわかっていません。

中心(O)の気圧が周辺(R)に比べてどのくらい低いかと,中心の気温が周辺に比べてどのくらい高いかで上の図も変わるような気もしています。

 

こういう等圧線になるなら2000hPaの方が気圧の差は小さくなりそうです。どう考えたらいいんでしょうか?

 

どなたか理解されている人がいらっしゃったら教えてください。

追記:csさんから解き方に関してコメントいただきました。詳細はコメント欄をご覧ください。非常に明快な回答です,ありがとうございます

 

 

第8問 温度風

こちらは問題の不備があったようで,全員に点数が来たようです。

そのため省略します。

ということでラッキー正解。ここまで6問正解。

 

***

この時点で8問中6問正解。

後半は次回に続きます。