さて,前回は天気記号で雲について学びました。今回は天気についてです。こちらは覚える記号多めです。
現在天気
前回は雲量について勉強しましたが,そのとき全雲量によって天気が「快晴」「晴」「曇」と分けられるのでした。しかしこれは降水などの大気現象がないときの話です。大気現象がある場合は天気はそちらを優先することになります。
天気図には,現在の天気(正確には1時間前から現在)を記号で表す現在天気が書かれています。雨や雪や雷などです。そしてその強さや時間的変化によっても記号が異なってくるから覚えるとなると大変です。
現在天気については100種類の記号が定められているのですが,さすがに100種類は覚えられません(私は)。しかし天気記号にもある程度の法則性がありそうなので,今回は主なものだけをピックアップして紹介することにします。
まずは雨から。
雨は (黒点)の記号が使われます。シンプルですね。ただ,雨粒の小さい霧雨の場合は (カンマ)が使われるようです。黒点とカンマが合わさった記号がありますが,これは単純に「雨と霧雨」という天気になります。
そして雨の強さによっても記号が異なってきます。
左から弱い雨,並の雨,強い雨という風に,降水の強さが強くなるほど縦方向に黒点が並ぶようになります。そしてこの場合,雨の連続性はなく,前1時間以内に雨が止んだ時間(止み間)があったことを表しているのです。
1時間連続してずっと雨が降り続いていた場合は,横方向(時間軸ととらえると分かりやすい)に点が並びます。
下の場合は,左から弱い雨,並の雨,強い雨を表しており,さらに1時間ずっと雨が降り続いていることも同時に表現しているのです。ややこしいですね。
ただこの法則さえ覚えてしまったら,後は他の降水現象にも同じように適用することが可能です。
例えば下の場合。
左から弱い霧雨,並の霧雨,強い霧雨を表し,また前1時間内に止み間があったことを表します。
止み間がなく連続して霧雨が降った場合は下のようになります。
左から弱い霧雨,並の霧雨,強い霧雨で,数が増えると強度が増す点は変わりません。
次は雪ですが,雪の場合も考え方は同様です。雪は(アステリスク)の記号が使われますが,これは星型で形的にもイメージしやすいですね。黒点とアステリスクの合わさった記号がありますが,これは「みぞれ」を表現しています。これも分かりやすい。
雨と同様に,前1時間以内に不連続な雪が降った場合は,1列で降水強度が増すごとに縦方向に記号が並びます。
左から,弱い雪,並の雪,強い雪(ただし前1時間内に止み間があった)。
連続して雪が降り続いた場合は横2列から強度とともに記号が増えていきます。
左から弱い雪,並の雪,強い雪(ただし前1時間内に止み間がなかった)。
こんな感じです。
他の降水の天気記号としては,しゅう雨性降水(にわか雨・にわか雪など)は白抜きの逆三角形(▽)がつくようです。
上だと,左から弱いしゅう雨,並または強いしゅう雨,激しいしゅう雨となります。
逆三角形の上の黒点(・)がアステリスク(*)に変わると下のようになり(図が分かりづらいですが),
左から,弱いしゅう雪,並または強いしゅう雪を表します。
みぞれは雨と雪が混じったものなので,下のように表現されます。
左から,弱いしゅう雨性のみぞれ,並または強いしゅう雨性のみぞれ。
他にも逆三角形の上が▲になるとひょうを表します。
左から,弱いひょう,並または強いひょうです(ひょうは積乱雲から降りしゅう雨性なのでわざわざ「しゅう雨性の」という断りはいらない)。
同様に逆三角形の上が△になると「あられ」を表します。
左から,弱いあられ,並または強いあられ。
イレギュラーなものだと,下が凍雨の天気記号。
そして試験でも良く出てくるのが雷電。
ギザギザして雷を表現しているのでしょうか。この場合は観測所には降水が観測されていません。
観測所で降水が観測された場合は,この雷電記号に加えて降水の記号が加わります。
左から,雨または雪を伴う雷電,ひょうまたはあられを伴う雷電という感じ。
また,電光は見えるが雷鳴は聞こえないときは下のようにギザ矢印で表現します。ただし,雷光だけが見えるこの場合には天気は雷電には当たらず,地点円の全雲量から天気を判断します。
さらに雷電が非常に強いときはギザギザの数も増えるようです。
左から,雨または雪を伴う強い雷電,ひょうまたはあられを伴う強い雷電という感じです。
あとは,もや*1(下左)と霧*2(下真ん中),そして黄砂が降る時期に比較的見られる煙霧*3(下右)を覚えておけばだいたい重要なところは網羅したといってもいいと思います。
霧については,左側に縦線があるときはその現象が濃くなったことを表し,右側に縦線があるときはその大気現象が薄くなったことを表します。
そして,現在は大気現象がないものの1時間以内に起きたときは,ブラケット記号(])を用います。
例えば,下のように。
左から,(前1時間内に)霧雨または霧雪があった,雨があった,雪があった,しゅう雨があった,ひょうやあられがあった,雷電があった,霧があった という風になります(ただし,過去1時間にあって現在は見られない天気については強弱についての分類・区別はない)。
要はブラケット記号があれば,(今はないが)過去1時間以内にその現象が起こったことを意味するのです。
こちらも下にチェック表を入れておきます。毎週ドリルしていけば,さすがに嫌でも覚えてしまうのではないかと思います。私も現在勉強中。
過去天気
過去天気とは,現在からさかのぼって6時間前の天気のことです。
過去天気で覚えるべき主なものは以下の6種類です。現在天気ともほぼ同じ記号であり,かつ数が圧倒的に少ないのでこれは覚えられそうです。
これは記憶しておきましょう。
天気図の中の現在天気と過去天気
以上のことを踏まえて実際の地上天気図を眺めてみます。
前回勉強したように,上層雲は巻層雲,中層雲は高積雲,下層雲に積乱雲が存在しているのが分かります。そして雲量は7,下層雲の雲量は4であることが見て取れますね。天気は悪そうです。
現在天気は全雲量を示した円の左側に記載されます。この場合は雷電ですね。すなわち観測した場所で雷があったことが分かります(降水はなかった)。
そして,過去天気(6時間前)は下層雲の雲量の右側に表示されます。この場合も雷電です。積乱雲が発生し雷がゴロゴロ鳴っているような悪天候の日だったようです。
別の日には下のような天気記号がありました。
上層雲は巻雲,中層雲は高積雲,下層雲に積乱雲が存在しているのが分かります。そして雲量は8,下層雲の雲量は6であるので,空を占める積乱雲の割合が多かったことが読み取れます。
現在天気は弱いしゅう雨ですね。過去天気(6時間前の天気)はしゅう雨性降水です。
実際に天気図を見て現在天気や過去天気を読み解くと,低気圧や前線の近くで確かに天気が悪かったりするので,どの領域で雨が悪かったのかが分かり見ていて楽しくもあります。そんな感じで天気図勉強をしているのです。
さて,次は天気図の気温や気圧について勉強していくことにします。
- 1時間前から現在までの天気を表す「現在天気」が天気記号として天気図に描かれている。頻出の記号は覚えておく。
- 過去天気とは,現在からさかのぼって6時間前の天気のこと。6つのメインの記号は覚える。
- 天気図上において,現在天気は全雲量を示した円の左側に表示される。
- 過去天気は下層雲の雲量の右側に表示される。
参考図書・参考URL
下記のサイトから画像などを一部お借りいたしました。