ここ最近天気図を眺めることが多くなりました。中でも気象予報士試験の実技試験を解いて,天気図の読み方を勉強している時間が多い感じです。(なのでアップする記事は天気図関連がどうしても多くなってしまいます。)
そして実技試験を眺めていると必ず出題されているのが天気図の記号の読み方ですね。結構ボリュームがあるので覚えるのもなかなか一苦労なのです。
それでもやはり天気図を読めるようになりたいので,そこは地道に覚えていくほかなさそうです。
下はとある日の地上実況天気図(ASAS)から切り出してきた一部です。なんだが色んな記号が並んでいるのが分かりますね。
ある記号は雲の形を表しており,ある記号は雲量を,数字は気温や気圧などを表しているようですが,いろいろあってなかなか一度には覚えられません。
今回から一つひとつ分けて勉強していくことにしましょう。
雲形
まずは雲形を表す天気記号を勉強していきます。
以前,十種雲形について勉強しました。
雲はその高度によって上層雲(「巻」がつく),中層雲(「高」がつく),下層雲(何もつかない)に大きく分けられるのでしたね。
また形によっても,立体的なモコモコした雲(「積」がつく)に,のっぺりした雲(「層」がつく)に分類できるのでした。
そしてこの考え方は天気図の記号でも同様のようです。
下に示したものが雲の形の記号の一例です(気象庁|国際式の天気記号と記入方式 (jma.go.jp)より引用)。
上層雲は巻雲・巻層雲・巻積雲の3つ。記号を見てみると,いずれも共通して のように杖のように巻いていますね。これが上層雲の記号の特徴のようです。
巻雲 を基にして,横に線が引かれると巻層雲 に,モコモコした記号が足されると巻積雲 になると考えたらなんとなく法則性が見えてきますね。巻層雲としては他にも や や などといった記号がありますが,やはり横線が入っているのは共通しています。
次に中層の雲は高層雲・高積雲・乱層雲の3つ。
中層雲の記号の多くは斜めに線が入っています。斜め線(高)+横線(層雲)で高層雲 に,斜め線(高)+モコモコ線(積雲)で高積雲 などと覚えれば良さそうな感じでしょうか。イレギュラーなものは,高積雲 や乱層雲 など。ここは地道に覚えることにします。
下層の雲は積雲・層雲・層積雲・積乱雲の4つです(積乱雲は雲頂高度は高いものの雲底が低いため下層雲に分類されます)。
地平線からモコモコ湧き上がる様子を表したような記号が積雲 と積乱雲 です。層雲は横線で と ですね。分かりにくいのは層積雲 ですかね。
このように闇雲に覚えるよりかは,共通した法則性を理解しつつ,型にはまらないイレギュラーなものだけを覚える方が効率的だと思います。
下に私が作ったチェック表を入れておきます。私は毎日1枚これを埋めてドリルしていますのでご興味あればダウンロードしてご活用ください。
雲量
雲量も過去にさらっと言及していますが,ここでおさらいです。
雲量とは,空を見上げたときに空全体に雲がどのくらいの割合を占めているかを表す指標です。日本の方式では0~10までの10分雲量で表現されますが,国際式では0~8までの8分雲量で表現されます。ここでは国際式を勉強します。
雲が全くなければ雲量は0になります(単位は「オクタ」になるらしい)。記号は で表します。少し雲が観測されたら1で と書きます。雲量0と1が「快晴」に相当します。
雲量が2~6は「晴」に相当し,雲量は数字が増すほど多くなり,それぞれ という記号が用いられます。
雲量が7と8は「曇」になり, と書きます。
最後に,霧や黄砂などが濃いなどの理由で空の状態が不明な場合は と記載されます。
まとめると以下の表のようになります。
ちなみに天気については大気現象(雨など)がないことが前提になります。大気現象があった場合には天気はそちらが優先されます。
例えば狐の嫁入り*1があって,雲量は6で「晴」に相当するものの降水を観測した場合には,そのときの天気は「雨」になるのです。
こちらもシートを作成してますので,必要に応じてご活用ください。
天気図の中の雲形と雲量
では最後に,冒頭の実況天気図の一部を拡大してみましょう。天気図の上の方に刻まれたこちらの天気記号を見てみます。
雲形の記号を探して見ると,この図の中に3つあることが確認できます。
上から巻層雲,高積雲,下に積乱雲の記号が書かれています。このように,天気図では上層雲,中層雲,下層雲の3つの高度でそれぞれどの雲が観察されたかが記載されるようです(雲が観察されない場合は何も描かれない)。
そして下層雲の右の数字で「6」とありますが,これは下層雲の雲量を表しています(下層雲がなければ中層雲の雲量になります。記述する場合は,「下層雲(もしくは下層雲がなければ中層雲)が,8分雲量で6である」などと書く。全天の8分の6を下層雲が占めるという意味ではないので注意)。
そして中上層雲と下層雲の間には矢羽根があり,雲量(全雲量)が示される記号があります。上の場合は雲量7ということになります。
これより,全天の雲量は7であり,下層雲である積乱雲の雲量は6ということになり,空を覆っている雲はほとんどが積乱雲であると読み取れるのですね。
このように天気記号が理解できたら,その場所の天気がどうだったかを思い浮かべることができるので非常に便利ですね。また世界が広がりそうです。
しかし天気図には雲だけの情報が記載されているワケではありません。例えば上の天気図で中層雲の左に「28」といった数字がありますが,これは気温を表しています。
とすると,気温が28℃ということはそこそこ暑い時期の天気図ではないかということも予想できるのですね。実際この天気図は9月1日のものから拝借しています。
気温や気圧などの情報も天気図には描かれていますが,そちらの説明はまた今度に回すことにします。
- 上層雲は巻雲・巻層雲・巻積雲の3つ。記号は覚える。
- 中層の雲は高層雲・高積雲・乱層雲の3つ。記号は覚える。
- 下層の雲は積雲・層雲・層積雲・積乱雲の4つ。記号は覚える。
- 雲量とは,空を見上げたときに空全体に雲がどのくらいの割合を占めているかを表す指標。国際式では0~8までの8分雲量で表現する。記号は覚える。
- 降水などの大気現象がある場合,雲量による天気よりも大気現象を優先する。
参考図書・参考URL
下記のサイトから画像などを一部お借りいたしました。