ここからは雲についてのお話。どうやって雲ができるのか,また雲から雨が降ってくるまでの経緯を見ていきます。だいぶ長い道のりになりそうですが。
今回は雲の種類について。
雲を眺める
私は空を眺めるのが好きなんですが,雲を眺めていると時々刻々と変わる形の変化に気が付きます。
もっとマクロな時間幅で見ると,夏と冬の雲の形も違っていることも経験上知っています。
でもこれまで雲の形について深く考えたことはありません。
なんとなく感覚的に「もこもこした夏の雲だなぁ」とか「秋っぽい鰯雲だ」なんて思っていたワケなんですね。
例えばこのモコモコの雲は夏っぽい。実際真夏に撮影しました。
一方こちらは秋っぽい雲。こちらは11月に撮影。
モコモコした感じではなく箒で掃いたような薄く平べったい感じなんですが,こういった季節による雲の形の違いに大気がどう関わっているのでしょうか?
雲についてちゃんと理解する良い機会です。調べてみました。
雲の種類
国際雲分類表に従うと,雲の種類は大きく10個に分類できるようです。
この雲の分類は十種雲形と呼ばれます。
巻雲(すじ雲)・巻積雲(うろこ雲・いわし雲・さば雲)・巻層雲(うす雲)・高積雲(ひつじ雲)・高層雲(おぼろ雲)・乱層雲(あま雲・ゆき雲)・積雲(わた雲)・層雲(きり雲)・層積雲(うね雲・くもり雲)・積乱雲(入道雲)の10種。
うーむ,漢字だらけだしどれも似ているしで覚えられない。。
しかし共通している漢字を取り出してみましょう。「巻」や「高」や「積」や「層」に「乱」。
これらの漢字それぞれの意味を理解するともう少し視界はハッキリとしてきます。
雲を分類する軸は「高度」「形」「性質」の3つ。
まず,高度で分類すると,空の高いところ(約5km以上)にある雲は「巻」をつけ,中間の高さ(約2〜7km)に位置する雲は「高」を,低いところ(約2km以下)にある雲は何もつけない,という風に高さの中でも3種類に表現できます。
形という切り口で見てみると,縦方向に盛り上がった立体的な雲は「積」,水平に広がった薄い雲は「層」をつけるという風になります。
そして性質で見ると,降水をもたらす雲には「乱」という文字をつけるようです。ただし「乱」という漢字がつかないからといって雨を降らさないということでもなく,層雲や層積雲なども時には降水をもたらすこともあります。
この名前の付け方を覚えてさえおけば,例えば秋の空高くに見える小さいまだら状のツブツブ雲は「巻」+「積雲」で巻積雲,空一面に広がり太陽が霞むほどしか見えないやや高めの雲は「高」+「層雲」で高層雲となります。
先ほどの写真だと夏の低い空に見えたモコモコした雲はおそらく「積雲」に分類されるんじゃないかと思います(積雲の中でも雄大積雲と呼ばれる雲でしょうか)。
秋の高い位置にある箒で掃いたような雲は「巻雲」かな。
10種というのはあくまでおおざっぱな分類で,実際にはその中でももっと細かく名前がついているようですので,ご興味あれば調べてみてください。
十種雲形についてはこちらのお天気お兄さんの動画が非常にわかりやすかったのでオススメです。
雲の形と季節
では,季節によってできる雲の形がどうして違ってくるのでしょう?
それには湿度と上空の温度が大きく関係しています。
一般的に日本の夏はジメジメしていて湿度が高いため,高度が高くなって温度が少し低くなるだけですぐに水蒸気が凝結する温度に達し雲になります。一方で湿度の比較的低い秋や冬は空気中に含まれる水蒸気量が少ないため,より温度が低くなる高い高度でなければ雲はできづらくなります。
結果として,高度の高い上層雲は水蒸気量が少ないため密度の薄い雲になり,高度の低い下層雲は水蒸気量が多い密度の濃い雲になる,といえそうです。
そう考えると,なぜ夏の低い空にモクモクとした雲が比較的多く,秋の高い空に刷毛で掃いたような薄い雲が多いのかが理解できますね。
かといって,夏だからモコモコ雲,秋だから薄い雲,などといったことはなく,冬でも積雲と巻雲が入り混じった空模様もあったりとその様相はさまざま。
だからこそ日々の空の観察も楽しくなるというものでしょう。
下の動画は雲ができる瞬間の映像だそうです。非常に貴重な動画ですね。雲というのは突然形成されることが理解できます。
ちなみに,天気図上において雲がどういった記号で表されるのかについては以下の記事にまとめていますので,ご興味ございましたらご参考にしてください。
【まとめ】学習の要点
今回学習したところで私的に感じたことをとりとめなくメモしておきます。
- 雲は「高度」「形」「性質」で分類する。
- 雲の高度や形は湿度と上空の温度が影響する。
- 一般的に低空にある雲ほど密度が濃く,高い高度にある雲ほど密度が薄くなる。
- 雲は身近に観察できるので,今回のポイントを押さえたうえで日々雲の観察を行っていくことにしよう。
気象学の教科書を読むのも良いですが,気象とはこんなにも身近に存在するものなんですから,実際に空を見上げて観察することが何より勉強になるように思っています。
参考図書・参考URL
下記のサイトから画像などを一部お借りいたしました。
- 『気象予報士かんたん合格テキスト』技術評論社 p55-62
- 『イラスト図解 よくわかる気象学』ナツメ社 p153-p157
- MBS News https://www.youtube.com/watch?v=2d5_KLi2EdI&ab_channel=MBSNEWS
- goo天気
- じゃらんニュース
- tenki.jp
- 積雲発生の瞬間映像! (youtube.com)