Weather Learning Diary

日常的な気象予測や天気図理解ができるようになりたい気象勉強初心者のブログ

【気象学勉強】第47回 湿度の計測

 

今回は湿度計測について見ていきましょう。湿度(相対湿度)はどうやって測られているんでしょうか。

 

 

湿度計には,毛髪などの伸縮性を利用した毛髪湿度計や,乾球温度と湿球温度の温度差から湿度をもとめる乾湿湿度計(乾湿計,吸湿材の電気特性の変化をセンサーで感知する電気式湿度計などがあります。

それぞれについて見ていきましょう。

 

毛髪湿度計

雨の日に髪の毛がまとまらないというのはよく聞く話です。空気中に含まれる水分が髪の毛に入り込み,内部の分子間の結合が切断されたりつながったりすることで起こるようです。

毛髪は湿度が高ければ伸び,湿度が低ければ縮む性質があります。この性質を利用して湿度を計測するのが毛髪湿度計

下のような装置のようです(防災の学習関連資料 気象測器 (jma.go.jp)より引用)。

毛髪を装置にセットし,毛髪による針を引っ張る力の変化を記録用紙でとらえているんですね。

しかしながら誤差も大きく,現在はより高精度な湿度計に代替され,今となっては使用されていない湿度計です。

札幌管区気象台のHPによりますと1950年頃までは気象台でも使用されていたそうです。

 

乾湿湿度計(乾湿計

乾湿湿度計乾湿計)は2本の温度計(乾球温度計湿球温度計)を組み合わせて,乾球と湿球の温度差から湿度を求めています。もう少し細かく原理を見ていきましょう。

 

まず復習ですが,水は水蒸気になるときに周りから熱を奪うことは勉強しています。このとき熱を奪われた周囲の気温は低下します。打ち水などが良い例です。

weatherlearning.hatenablog.jp

 

ここで,湿球温度計湿度計ではないことに注意)という,先端を水で濡らしたガーゼで包んだ温度計を用意します。

もしもこの日は気温が暑くカラッと晴れた日であれば,湿らせたガーゼからは多くの水が蒸発し水蒸気に変わるはずですね。このときガーゼの周りの空気から熱を奪うので湿球温度計の温度は下がることになります。

一方でこの日が湿度100%であれば,周囲の空気は水蒸気を限界まで含んでいる(=飽和水蒸気量に達している)ので,ガーゼに含まれる水分は水蒸気となってガーゼから抜け出すことができません*1

このように,(ある温度条件下では)周りの相対湿度が低いほど湿球温度計から水分が蒸発して温度は低い値を指し示すということですね。もちろん気温が変わればその分蒸発する水分子量も違ってきますので,湿球温度は周囲の空気の湿度だけではなく気温にも影響されることは容易に想像できます。

 

さて,乾球温度計ですが,こちらは普通の温度計と考えて差し支えありません。

湿球温度計では潜熱による気温の低下が起こるため,湿球温度計が指し示す気温の値( t')は必ず乾球温度計の指し示す気温( t)以下になります( t'≦t )。湿度100%のときは等号が成立して  t' = t となります。

 

ではこの乾湿湿度計の一つである「アスマン式乾湿計」を例に,湿度の測り方を勉強していきます*2

 

下はアスマン式乾湿計が乾球温度と湿球温度を示している湿度計を表しています(EA742XB_MNL_JPN_MAK_OUT(01).pdf (esco-net.com)より引用,一部改変)。

この図では乾球温度( t)が25℃,湿球温度( t')が18℃となっていて,その温度差は 25-18=7℃ ですね。

現在の一般的な湿度計ならば,相対湿度はその計測器に表示されます。今回ならば湿度は「50%」になります。

 

この50%という値がどこから来たのかというと,湿度表と呼ばれる対応表をもとに相対湿度が求められているようです(下表)。

縦軸には乾球温度( t)が,横軸には乾球温度と湿球温度の差( t-t')が取られており,その値の交点が求める湿度となります。

 

乾球温度が25℃,湿球温度が18℃の場合は,乾球温度が25℃と温度差7℃ の交点が湿度であり,たしかに50%であることが確認できました。

 

電気式湿度計

現在最も一般的なのが電気式湿度計

湿度計には湿度を検出する素子(電気回路の重要な部品)が入っていて,湿度によってこの素子の電気抵抗(もしくは静電容量)の変化をとらえています。

下はその仕組みを表したものです(福岡管区気象台|湿度計のしくみ (jma.go.jp)より引用)。

通風筒の中に温度計と湿度計が設置され,温度と湿度を計測しているんですね。

 

【まとめ】学習の要点

ということで,今回学習したところで重要そうなところをメモしておきます。

自分的メモ!
  • 湿度計には,毛髪湿度計や,乾湿湿度計(乾湿計),電気式湿度計などがある。
  • 毛髪湿度計は,毛髪は湿度が高ければ伸び,湿度が低ければ縮む性質を利用して湿度を求めるが,誤差も大きく現在では用いられていない。
  • 乾湿湿度計は2本の温度計(乾球温度計湿球温度計)を組み合わせて,乾球と湿球の温度差から湿度を求める。
  • 湿度表と呼ばれる対応表をもとに,乾球温度と(乾湿温度と湿球温度の)温度差の交点から湿度が求まる。
  • 電気式湿度計は,湿度によって素子の電気抵抗(もしくは静電容量)の変化をとらえている。最も一般的な湿度計となっている。

 

参考図書・参考URL

下記のサイトから画像などを一部お借りいたしました。

*1:正確には,ガーゼから水分が蒸発しているのと同じ量だけ空気中の水蒸気が水へと変化して,見かけ上変化のない平衡状態に達しているはずです

*2:乾湿計にはアスマン式乾湿計のほか,「アウグスト乾湿計」や「気象庁形通風乾湿球湿度計」,「振り回し式乾湿計」などがあるようですが,基本原理は同じです