Weather Learning Diary

日常的な気象予測や天気図理解ができるようになりたい気象勉強中の社会人ブログ

【気象学勉強】第61回 台風の大きさと強さ

 

前回に引き続き,台風についてです。今回は台風の大きさと強さについて。

 

 

下は2023年6月に日本を通過した台風2号の,5月30日時点での台風についての情報です。

台風の情報として,大きさ,強さ(勢力),進路方向,中心気圧,風速が記載されています。熱帯低気圧の中でも中心付近の最大風速の大きさが17.2 m/s (34kt)以上に達したものを台風というので,今回の台風2号(最大風速 45 m/s)は十分に台風の基準を満たしていますね。


また,台風2号の大きさについては「大型」と記されています。でも,そもそも台風の大きさとは何を基準にしてどこまでの範囲を言うのでしょうか。

また,強さとして「非常に強い」とされていますが,何を以て台風の強さを測っているのでしょうか。

ひとつひとつ見ていきましょう。

 

台風の大きさ

まず,台風の大きさについて。

台風は一般的に強い風を伴います。風の強さの目安は過去に勉強しています。

weatherlearning.hatenablog.jp

目安としては,風速15 m/s 以上 20 m/s 未満の風は「強風」 20m/s 以上 30 m/s 未満の風は「暴風」とされています。ここで風速とは,10分間の平均的な風速のことです。

 

そして台風では,平均風速15 m/s 以上の強い風が吹いている,もしくは地形の影響がない場合に吹く可能性がある範囲のことを「強風域」といい,平均風速 25 m/s 以上の非常に強い風(暴風)が吹いている,もしくは地形の影響がない場合に吹く可能性がある範囲のことを「暴風」といいます。

この辺の風速の基準にはやや紛らわしい点があるので注意が必要ですね。暴風は一般的に風速20m/s以上ですが,台風の暴風域は25m/s以上という定義なのですね。

 

そして台風の大きさは平均風速15 m/s 以上の強風域の半径の大きさを指します。

中でも,強風域半径が500km以上800km未満の台風を「大型(大きい)」の台風と呼び,強風域半径が800km以上の台風を「超大型(非常に大きい)」の台風と呼ぶのです。それ以外(半径500km未満)の場合は大きさの表現は特にありません。

 

でも半径500kmや800kmと言われてもどのくらいなのかピンときませんね。

上の地図は東京駅を中心とした,半径500kmの円(赤丸:大型の台風に相当)と半径800kmの円(緑丸:超大型の台風に相当)です(はんけい(地図を使って半径を調べるサイト) (cloudwoods.jp))。たしかに大きいですね。

半径500kmとなると東京駅から淡路島くらいまでの距離,半径800kmに至っては東京駅から北は札幌,西は山口まで届く距離です。

『超大型の台風が日本に接近しています』とニュースで聞くこともありますが,本州がすっぽりと入るくらいの大きさなんですね。

 

下の天気図のように,2017年の台風21号は超大型の台風だったようです。

たしかに本州を飲み込むほどの大きさなのが分かりますね。

台風ってこんなに大きいスケール感なのかと改めて感じられた次第です。

 

台風の強さ

今度は台風の強さ(勢力とも表現される)について。強さは中心付近の最大風速で決まります(平均風速ではないことに注意)。最大風速とは,ある時間内において平均風速が最も大きくなった値のことです。日本では,最大風速とは10分間平均風速の最大値のことです。

 

中心付近の最大風速が33 m/s(64 kt)以上 44 m/s(85 kt)未満の台風の場合は,「強い」台風であると言います。

また,最大風速が44 m/s(85 kt)以上 54 m/s(105 kt)未満の台風の場合は「非常に強い」台風,さらに 54 m/s(105 kt)以上の台風の場合は「猛烈な」台風であると表現されるようです。

 

まずは「強い」台風。中心付近の最大風速は 35 m/s となっています。

そして今回やってきた「非常に強い」台風。冒頭の天気図を再び見てみると,中心付近の最大風速は 45 m/s です。

 

最後に「猛烈な」台風。中心付近の最大風速は 55 m/s です。スゴイ。


このように台風は,強風域の半径で大きさが定義されており,また中心付近の最大風速で強さが定義されているのです。

 

台風の強さの推定

日本から遠く離れた海上にある台風の勢力がどのくらいなのかを知るのは難しいであろうことはなんとなく予想がつきます。海上だと陸上のように観測装置や観測施設が十分でないからです。

でもニュースでは日本から遠く離れた台風の中心気圧や中心付近の最大風速の値などが流れるワケですから,実際に計測したり,計算によって推定したりして何かしら値を算出しているはずです。

そして実際のところは,気象衛星から観測した雲の分布や形状,台風の目の有無とその形状などから台風の強度を推定しているようです(台風が上陸したりして実際に気圧を測れる場合意外は,だいたいこのくらいだろうという推定値を用いている)。

 

このように,気象衛星を用いて台風の勢力を推定する方法を,開発者の名前をとってドボラック法と呼ばれます。気象庁では,この手法を用いて台風の強さ(中心気圧,最大風速)を推定しているんですね。

下はそのドボラック法の推定基準の一部の画像です。細かい話は分からないんで画像のみ掲載しておきます。簡単に言うと,雲や台風の目の特徴から,この画像と見比べてだいたいの強さを推定しているというところでしょう。

 

ただし,この推定も実際の観測値とは乖離することも報告されているらしく,現在では航空機からドロップゾンデなどを落下させて,台風の強度と進路の予測を精度よく行おうという取り組みなどが進められているようです。

 

なお,地上天気図上で台風がどのように表現されるのかは以下に記事をまとめています。

weatherlearning.hatenablog.jp

 

 

【まとめ】学習の要点

ということで,今回学習したところで重要そうなところをメモしておきます。

自分的メモ!
  • 平均風速15 m/s 以上の風が吹いているか,地形の影響がない場合に吹く可能性がある領域のことを「強風域」という。
  • 平均風速 25 m/s 以上の風が吹いているか,地形の影響がない場合に吹く可能性がある領域のことを「暴風域」という。
  • 台風は,強風域の半径(平均風速) で大きさが定義されており,また中心付近の最大風速で強さが定義されている。
  • 強風域半径が500km以上800km未満の台風は「大型(大きい)」の台風。
  • 強風域半径が800km以上の台風は「超大型(非常に大きい)」の台風。
  • 中心付近の最大風速が33 m/s(64 kt)以上 44 m/s(85 kt)未満の台風の場合は「強い」台風。
  • 中心付近の最大風速が44 m/s(85 kt)以上 54 m/s(105 kt)未満の台風の場合は「非常に強い」台風。
  • 中心付近の最大風速が 54 m/s(105 kt)以上の台風の場合は「猛烈な」台風。
  • 気象庁では,気象衛星から観測した雲の分布の特徴などから台風の強度を推定している(ドボラック法)。

 

参考図書・参考URL

下記のサイトから画像などを一部お借りいたしました。