Weather Learning Diary

日常的な気象予測や天気図理解ができるようになりたい気象勉強初心者のブログ

【天気図】秋が深まった日

 

初心者なりに天気図等の見方をいろいろ試行錯誤しながら学んでいる状況ですので,今回もズブの素人なりに自分の勉強したところを恥ずかしながら公開させていただきます。もっとこんな点に着目したら理解が深まるよ,などのアドバイスがあれば大歓迎です。

 

 

秋の深まり

秋に入り朝も寒く感じることも増えてきました。

2023年10月21日には上空に寒気が流れ込み,北海道では初雪が降ったようです。

 

ではこのときの天気図を見てみることにしましょう。

 

2023年10月20日(金)09時~2023年10月21日(土)06時(日本時間)

下は10月20日午前から21日午前にかけての850hPaの気温を暖かいところは赤く,寒いところは青く示したものです。

日本の上空がちょうど暖かい空気と冷たい空気の境界となっていますね。このとき地上天気図を見てみると,そこには寒冷前線が通っていることが下の図から確認できます。

前線というのは暖かい空気と冷たい空気がぶつかってできるのですから天気図上に前線があることは何ら不思議ではないのですが,このように暖かいところと冷たいところを可視化してみてたしかに前線があることが確認できると辻褄が合っていて少しばかり興奮を覚えるのです。

そして寒冷前線の東側では南西の風が吹き,西側では北西の風が吹いていると考えられるので,地上天気図上には矢印(青・橙色)で示したような風を書き入れることができるはずです。

 

例えばこの時間帯前後の名古屋市の天気を見てみると,16時から17時の間で南西の風が西北西へと変化しており,この間に寒冷前線が名古屋を通過したことも予想できるのですね。

さらに寒冷前線が通過したと考えられる16時~17時の間では気温が23.9℃から18.3℃になり,5℃以上も気温が低下しているのが分かります。一般的に寒冷前線が通過すると北からの冷たい空気の影響で気温が低下しますので,それもちゃんと気象データには刻みこまれているわけです(スゴイ!)。

寒冷前線が通過すると雨が降り出しました。教科書的には寒冷前線の雨域は広くないと書かれており,急に雨が降り出すと2~3時間程度で晴れるとありますが,これも今回の名古屋の天気にはよく当てはまる結果なのかなと思います。

このときの上空の風をウィンドプロファイラで見て前線面を解析してみるのも面白いかもしれません。

 

 

2023年10月21日(土)09時~2023年10月22日(土)06時(日本時間)

前線が通過した10月21日は,このシーズンで最も強い寒気が上空に流れ込んだとしてニュースになりました。

10月21日午前から22日午前にかけての850hPaの気温を見てみると,確かに濃い青(冷たい空気)が日本の上空,特に北海道上空を西から東へ通過しているのが分かります。

この日の地上天気図を見てみると,西高東低の冬型の気圧配置が強まっており,北から冷たい風が流れ込んでいるのではないかと予想できます。名古屋の気温を確認したところ,前日では昼間には25℃近くになった気温も,この日の最高気温は17℃程度と,前日に比べて7℃ほど低い値を示していました。冷えたんですねぇ。

西高東低の気圧配置になると,大陸からの冷たい空気が吹き出すようになり,比較的温かい日本海上では雲が発達して日本海側の地域に雨や雪を降らせるようになります。

この日の18時ごろの雨雲を見てみると,たしかに日本海側に広く分布していることが確認できますね。

さらにこのとき,上空5500m付近では-30℃以下の強い寒気が北海道・東北北部に流れてきていました。下の領域が-30℃以下の領域かな?

上空に寒気を伴ったトラフが進んでくるため,北海道・東北北部では大気の状態が不安定となり雨雲が発達することが天気予報では予想されていました。

そして実際に,この日は北海道の山岳部や旭川市などの平野部でも雪が観測されました。旭川では今季初雪だったそうです。

 

 

2023年10月22日(日)09時~2023年10月23日(土)06時(日本時間)

22日の朝は全国的に今シーズン最も冷え込んだようです。

ただ,大陸側から移動してきた高気圧によって西日本・東日本は晴れたところが多かったみたいですね。

関東から西では高気圧にすっぽり覆われていますね。一方で,北日本では寒気の影響が引き続き残り,大気が不安定になっていたようです。

気圧配置も南高北低の様相を見せており,冬型が緩んでいることが見て取れますね。

 

23日には下のような天気図に。

全国的に高気圧に覆われ秋晴れが続きました。日差しとともに気温も上昇して,昼間は名古屋では24℃に達したようです。

 

このように,寒冷前線が通過した後は上空に寒気が流れ込み,全国的に今季で最も冷え込んで気温が低くなったのでした。こうやって季節というのは進むのですね。なるほど,少しわかったような気がします。

そういうわけで,今回は「秋が深まった日」として記事としてまとめておきます。

 

天気図理解のメモ
  • 前線は暖かい空気と冷たい空気がぶつかってできる境目のこと。
  • 寒冷前線の通過に伴い,地上では風向の変化,気温の変化が確認できる。
  • 一般的に寒冷前線は東に進むため,通過前は南よりの風,通過後は北よりの風へと変化する。気温も通過に伴い低下する。
  • 西高東低の冬型の気圧配置が強まると,大陸からの冷たい空気が流れ込んで,高気圧と低気圧に挟まれた日本列島は冷え込む。
  • 西高東低の気圧配置になると,大陸からの冷たい空気が比較的温かい日本海上で暖められ,雲が発達して日本海側の地域に雨や雪を降らせる。
  • 高気圧が近づくと晴れやすい。

 

参考図書・参考URL