Weather Learning Diary

日常的な気象予測や天気図理解ができるようになりたい気象勉強初心者のブログ

【天気図】木枯らし1号が吹いた日

 

近畿地方で木枯らし1号

2023年11月11日(土)の未明(午前0時から午前3時までの時間帯)に,近畿地方では木枯らし1号が吹いたそうです。

きょう11日(土)午前、近畿地方で木枯らし1号が吹いたと発表された。近畿地方は昨年より2日早い発表だ。

日本付近は強い冬型の気圧配置となっていて、北日本日本海側を中心に北寄りの風が強まっている。北海道では暴風警報の発表されている所があり、暴風に警戒が必要だ。

  2023年11月11日(土)ウェザーマップ

 

木枯らしとは冬型の気圧配置になったときに吹く風のことで,この風が冬の到来を告げるものとして気象の世界では注目されているようですね。

 

ちなみに,この木枯らしの定義は地方によって異なっています。地方と言っても木枯らし1号が発表されるのは東京(関東地方)と大阪(近畿地方)のみに限られます。

関東地方においての木枯らしの条件は

 1 期間は10月半ばから11月末までの間に限る。

 2 気圧配置が西高東低の冬型となって、季節風が吹くこと。

 3 東京における風向が西北西~北である。

 4 東京における最大風速が、おおむね風力5(風速8 m/s)以上である。

 

一方,近畿地方における木枯らしの条件は

 1 期間は霜降(10月23日ごろ)~冬至(12月22日ごろ)までの間に吹く。

 2 西高東低の冬型の気圧配置となる。

 3 北よりの風が吹き、最大風速8 m/s以上。

 

ということです。この定義に当てはまる風のうちで,その年に最初に吹いたものを「木枯らし1号」と呼びますが,たまに指定の期間を過ぎても木枯らしが吹かない年もあるようで,2021年と2022年では関東地方では木枯らし1号は発表されず,「観測なし」と記録されています。

 

下図は近畿地方で木枯らし1号が吹いたとされる午前3時の地上天気図。

西高東低の冬型の気圧配置となっているのが分かります。

風を矢印で示すと,図の青い矢印のように書き記されるでしょうか。北寄りの冷たい風が日本列島を横切っていると考えられます。そして等圧線間隔も狭く,強い風が吹いたことが読み取れそうです。

 

木枯らし1号と春一番

冬の到来を告げる木枯らし1号と比較されるのが,春の訪れを告げる春一番

木枯らしが関東と近畿のみで発表される一方で,春一番関東甲信,北陸,東海,近畿,中国,四国,九州北部,九州南部・奄美地方で発表があるようです。ただし,各地方ごとに条件が設定されており,全国で統一された基準がないという点では木枯らし1号と共通しています。

 

例えば,関東地方においての春一番の条件は

 1 期間は立春(2月4日ごろ)から春分(3月21日ごろ)までの間に吹く。

 2 日本海に低気圧がある(日本海低気圧)。

 3 関東地方における最大風速がおおむね風力5以上の南寄りの風。

 4 前日より気温が高くなる。

となっているようです。

こちらも毎年発表されるわけではないようで,条件に合う風が吹かない場合は「観測なし」とされる年もあります。

 

2023年の近畿地方では3月12日に春一番が発表されています。

日本海には低気圧があり,その低気圧に吹き込むように南からの暖かい風が流れてくるので,気温は上昇して春を感じさせるのですね。日本海の低気圧が発達すると,関東から西の各地では南寄りの風が強まることが多くなります。

 

木枯らしが吹くときの冬型の気圧配置では低気圧が日本の東側にある一方で,春一番が吹くときには日本海側に低気圧があるように,気圧配置次第で気温や天気も大きく変化するのです。

weatherlearning.hatenablog.jp

 

関東地方でも木枯らし1号

近畿地方で木枯らし1号が吹いた2日後,関東地方でも木枯らし1号の発表がありました。先述しましたように,関東地方では2021年,2022年と木枯らし1号は観測されておらず,今回実に3年ぶりだったようです。

気象庁によりますと、強い冬型の気圧配置の影響で、13日は全国的に北よりの風が強まりました。

東京の都心では、午後2時すぎに14.5メートルの最大瞬間風速を観測し、気象庁は「東京で木枯らし1号が吹いた」と発表しました。

東京の「木枯らし1号」の発表は2020年以来3年ぶりです。

2023年11月13日(月)NHKニュース

 

木枯らし1号が吹いて以降,これまで季節外れの暖かさだった日本列島は徐々に例年のような秋の寒さに戻りつつあるようです。

 

 

ということで,今回は木枯らし1号のニュースから,木枯らしの定義とその天気図,そして春一番と比較してみました。

まだまだ知らないことが多いので,勉強のやり甲斐があるというものです。

 

天気図理解のメモ
  • 等圧線間隔が狭いほど(気圧傾度が大きくなり)風速は強まる。
  • 日本海上に低気圧が発達するときは,関東から西の各地で南風が強まる。

 

参考図書・参考URL

下記のサイトを参考にしました。画像などを一部お借りしていることもあります。