Weather Learning Diary

日常的な気象予測や天気図理解ができるようになりたい気象勉強初心者のブログ

【天気図】天気図上の距離の測定

 

実技試験問題を解いていると,24時間に移動した距離から低気圧の速度などを答えさせる問題が散見されます。

しかし,こういった問題に慣れていないと計算が思ったように捗らずに時間だけが過ぎていくんですよね。そこで今回は天気図上の距離についてきちんとまとめてみました。

 

 

経度と緯度

東京は東経140度,北緯36度に位置する都市です。このように,地球上のあらゆる位置は,経度緯度(と標高)を指定することによってただ1つに特定されます。

 

経度とは,ある地点(例えば東京)・南極・北極の3点を結んだ地球の切り口の断面と,基準となる本初子午線が作る地球断面とのなす角度で表されます。

本初子午線よりも東側(アジア側)だと東経,西側(南米アメリカ側)だと西経と言い,それぞれ180度まであります。よって東経180度と西経180度は一致します(180度経線 - Wikipedia)。

 

一方,緯度とは,赤道を0度として,そこから南北にそれぞれ90度まで表します。北半球であれば北緯と言い,南半球であれば南緯と呼ばれます。下の図が分かりやすい。

例えば,アメリカのニューヨークは西経74度,北緯40度に,オーストラリアのシドニーは東経151度,南緯33度に位置する都市だと表現できるのですね。また,北極点は北緯90度(経度は存在しない),南極点は南緯90度(同)の地点となります。

 

上記のような座標によって位置を表すという考えは思っていた以上に古い時代まで遡り,紀元前のギリシャや中国ですでに考えられていたようです。ただし当時の測量技術では誤差が非常に大きかったため,実用的な経度・緯度の登場は19世紀になるまで待たなくてはなりませんでした。

 

1870年代にグリニッジ天文台を通る経線が世界の基準となり,現在はグリニッジ天文台の西に100mほど離れた「国際基準子午線(IERS基準子午線)」が本初子午線となっています。

この本初子午線を基準にして「UT1」という時刻が作られており,非常に正確な時刻を刻む原子時計と組み合わせることで「協定世界時UTCCoordinated Universal Time」と呼ばれる現在日常的に使用されている時刻ができているようです。

 

以上のように,日常的に使われる時刻が作られた経緯は非常に複雑なので頭がこんがらがってしまいますが,

 ・経度や時刻の基準となる本初子午線はもはやグリニッジ天文台を通っていない

 ・グリニッジを基準とした時刻(GMT)がかつては世界基準時刻だったが,今の世界時刻の基準は「UTC

であることを押さえておけば,飲み会のうんちく話に花が咲くこと請け合いでしょう。

 

天気図を見てもちゃんと「UTC」で時刻が表現されていますね。

 

海里とキロメートル

ここまで地球の座標を与える経度と緯度について話をしてきましたが,この経度と緯度にはその距離に大きな違いがあります。

地球上どこでも緯度1度は同じ距離なのに対して,経度については(その地点の緯度によって)経度1度の距離は異なるのです。

 

下の図(緯度経度より 2点間の距離を計算 | 有限会社 エス技研 (s-giken.info)より引用)を見たら分かるように,緯度は経度が変わっても1度あたりの距離は変化しませんが,経度については高緯度になるほど1度あたりの距離は短くなっていきます。

では,緯度1度あたりの距離は地球のどこでも変わらないということであれば,その距離はどう計算されるのでしょうか。

 

地球の一周の長さは4万kmであるので,それを360等分したものが緯度1度に相当しますね。

計算してみると,

  緯度1度  = \dfrac{40000}{360} = 111 (km)

となりました。

また,1海里は緯度1度を60等分した距離に相当しますので,

  緯度1度  = 60 (海里)

と記述することができます。

 

また,これらの式から,1海里は

  1海里  = \dfrac{111}{60} = 1.852 (km)

であることも導き出せます。

 

一方,経度については赤道上では経度1度=111kmが成り立ちますが,北緯60度になると経度1度=56km (=111×cos60°)と半分になるのです。

 

よって地図上で距離を知りたいときは基準となる長さを知れば良いわけですが,その基準となるのが緯度1度の長さになるのです。

 

天気図上の距離の測定

長くなりましたが,ここでようやく本題に入ります。

今,下の天気図上のA地点とB地点の距離を測りたいと思います。定規を使っても良いとします。

 

まずは,地点A(韓国済州島)と地点B(秋田市)との距離を求めてみましょう。

そこで,緯線の長さを基準として,済州島と秋田が入っている緯度の範囲(だいたい北緯30度~40度)で考えたら良い近似ができそうです。

定規でこの地図における緯度10度分の長さを測ったところ6.8cmでした。緯度1度が60海里(111km)に相当しますので,緯度10度分は600海里(1110km)になります。

済州島秋田市を結んだ線の長さを求めると8.4cmになりました。

このことから単純な比例計算を用いると,済州島秋田市の距離は,

   600 × \dfrac{8.4}{6.8} = 741 (海里)  あるいは

   1110 × \dfrac{8.4}{6.8} = 1371 (キロメートル)

と求められました。

済州島秋田市の実際の距離は約754海里(1397km)だそうですので,誤差5%以内に収まっているということでそこそこ精度良く近似できているかと思います。

 

 

ではお次。

今度は上のように地点A(鹿児島)と地点B(稚内市)との距離を求めてみることにします。

このとき2地点は10度間隔に刻まれる緯線をまたいでいるので,それらの地点が入るように基準となる緯度の範囲は大きく取ってあげるのが良いでしょう。なぜなら,緯度1度の距離は地球という球体上ではどこでも同じですが,地図という二次元の世界に圧縮したときには長さは異なってくるためです。

上のように,北緯30~40度は6.8cmですが,北緯40~50度では6.2cmとなり,球体上では同じはずの距離も地図上では違ってくるのですね。

よって鹿児島と稚内の含まれる北緯30~50度にわたる20度の範囲を基準として計算する方が良さそうです。

定規でこの地図における緯度20度分の長さを測ったところ13cmでした。この距離は1200海里(2220km)に相当します。

 

ここで,鹿児島と稚内市を結んだ線の長さを求めると10.8cmでした。

計算すると,2地点間の距離は,

   1200 × \dfrac{10.8}{13} = 996 (海里)  あるいは

   2220 × \dfrac{10.8}{13} = 1844 (キロメートル)

と求められました。

鹿児島と稚内市の実際の距離は約981海里(1817km)だそうですので,こちらもそこそこ精度良く近似できているかと思います。

これを北緯30度~40度の10度分だけを基準にして計算すると

   600 × \dfrac{10.8}{6.8} = 951 (海里)  あるいは

   1110 × \dfrac{10.8}{6.8} = 1762 (キロメートル)

となるので,こちらで計算した場合は少しだけ精度は劣ることになります。

 

ハイ,これで天気図上の距離を測定するのは大丈夫そうです。

とにかく長さは緯度の角度を基準にして取るということですね。決して経度の角度を基準としてはいけない(いけなくはないが,cosθという三角関数が必要になり非常に計算が面倒)ということです。

 

天気図理解のメモ
  • 地球上どこでも緯度1度の距離は同じであるのに対して,経度については(その地点の緯度によって)経度1度の距離は異なる。
  • 緯度1度=60海里=111km
  • 1海里=1.852km
  • 天気図上で距離を計算する場合は,緯度10度単位の長さを基準にして計算してやると良い。

 

参考図書・参考URL

下記のサイトから画像などを一部お借りいたしました。